10月23日、東京と福岡で2つの衆議院議員補欠選挙が行われ、両方とも自民党の勝利に終わった。その一方で、国会では、来年1月にも衆議院解散の可能性がささやかれている。その背景や今回の補選の結果を踏まえた政局の動きを解説する。(ジャーナリスト 黒瀬徹一)
2つの補選の結果は
衆議院解散にどう影響するか
10月23日(日)、東京と福岡で2つの衆議院議員補欠選挙が行われた。
民進党の代表に蓮舫参議院議員が選出されて以降、初の国政選挙となる。
東京都10区(豊島区、練馬区の一部)は、小池百合子元衆議院議員が都知事に転じたために補選となった。先日の東京都知事選挙で自民党への対決姿勢を見せて当選した小池都知事だが、今回の選挙では初日から若狭候補の応援に駆けつけた。
一方、福岡6区(久留米市、大川市、小郡市、うきは市、三井郡、三潴郡)は、鳩山邦夫元衆議院議員の逝去のため補選となった。鳩山氏の後継者をめぐって自民党は分裂。福岡県連の会長の息子と鳩山家が争う「お家争い」の構図となった。そこに民進党から新人の女性候補が挑み、三つ巴の戦いとなった。
結果的には、2つの補選は自民党があっさり勝利して終わった。だが、自民党として手放しで喜んでよいのだろうか。有権者として「自民勝利」で単純に片付けてよいのだろうか。
ふと国会を眺めれば、いつの間にか「解散風」が吹き始めている。毎年、1月に開催されている党大会が3月に先送りされたことで、来年1月に衆議院を解散する可能性をささやく声が次第に大きくなってきたのだ。一体、この真意は何なのか。今回の補選の結果は、本当に解散風を後押しするのか。
今回の補選の結果を踏まえ、今後の政局を考察したい。
事実上の一騎打ちの東京10区
蓮舫民進党は勢いづくか?
まず、東京都第10区(豊島区、練馬区の一部)の戦いから振り返ってみよう。
自民党からは比例区から選挙区に鞍替えした若狭勝氏が出馬し、民進党からは新人の鈴木庸介氏が出馬。実質的にはこの2人の一騎打ちの様相となった。