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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

日本でテレワークやフレックスタイムがなかなか進まない理由

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第9回】 2016年11月10日
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 情報技術の発展に伴って、働き方の改革が可能になっている。柔軟な働き方の導入は、さまざまな利点を持ち、成長戦略の重要な課題と考えられている。

 ところが、日本の実態を見ると、導入が進んでいない。なぜ進まないのか?

柔軟な働き方を広げる
テレワーキングへの期待

 働き方の変化としては、第1に、企業に就業することを前提として就業形態をより柔軟にするもの、第2に、企業から独立して仕事を進めるもの、の2つがある。今回は、前者について見よう。

 就業形態をより柔軟にする改革として、第1に、テレワーキングがある。

 テレワークの普及は、従業員にとって、多様で柔軟な働き方を選択することを可能にするメリットがあるとされる。

 また、企業にとっては、コスト抑制や、雇用可能な人材の拡大などのメリットがあるとされる。とりわけ、高齢化による労働人口減少に対応して、女性や高齢者などの人材を活用することを可能にするとされる。地方における雇用機会の増大にも資するとされる。

 政府は、2015年6月に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」において、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数が全労働者数に占める割合を、2020年に10%以上とする」ことを目標とした。

 総務省と厚生労働省が、それぞれ年間10億円の予算を組んで推進事業を行なっている。

 政府は10月に「働き方改革実現会議」を開いた。議長の安倍晋三首相は、柔軟な働き方を広げるため、ITを活用して職場以外の場所で働くテレワークや、兼業・副業の促進に向けて「ガイドラインの制定も含めて多様な政策手段について検討したい」と述べた。病気治療と仕事が両立できるよう新たな対策づくりに取り組むことも表明した。首相は、テレワークや兼業・副業に関し「普及を図っていくことが極めて重要だ」と強調した(産経新聞、10月24日)。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

 日本が直面している課題は、実体経済をいかにして改善するかである。それは金融政策によって実現できるものではない。
 金融緩和に依存して長期的に衰退の道を辿っているヨーロッパ大陸諸国と日本。それに対して、新しい情報技術をつぎつぎに開発し、高度なサービス産業に特化して成長しつつあるアメリカとイギリス。両者の差は、イギリスのEU離脱によって、具体的な 形を取りつつある。
 日本はいま、基本的な成長のパタンを大きく変更しなければならない。これは、純粋な研究開発だけの問題ではない。企業の仕組みや社会全体の構造が重要な役割を果たす。

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