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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

トヨタと日産、真逆のグループ戦略で部品企業の行く末は

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第44回】 2016年12月2日
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Photo:TOYOTA/NISSAN

 トヨタは11月17日、電気自動車(EV)の開発を担う社内ベンチャーを12月から立ち上げることを発表した。

 この新ベンチャーは豊田章男社長直轄の「EV事業企画室」であり、メンバーはトヨタ本体とデンソー、アイシン精機、豊田自動織機のトヨタグループから抜擢された4名からなる(詳細は後述参照)。トヨタはグループ中核部品企業を巻き込んでEV商品投入を急ぐことになる。

 さらに、グローバル競争力の強化のため、グループ力強化(つまり、富士重工、マツダ、スズキまで加わる緩やかな提携拡大とグループ主力部品企業との連携強化)を推し進めている。

日産のカルソニック株売却から
みえてくること

 一方、日産自動車は11月22日、連結子会社で日産グループサプライヤーの最大手であるカルソニックカンセイ(CK)の41%の保有株すべてを米国投資ファンドのコールバーグ・クラビア・ロバーツ(KKR)に売却したと発表した。

 これは、先に三菱自動車を傘下に収める一方、従来のグループ主力部品企業の売却とグローバル競争力強化にかかる開発投資の資金確保を急いだためだ。そして日産・ルノー連合はグローバル拡大戦略の一環として、部品調達では三菱自動車も加えた共同購買を拡大することで、「脱・系列」を強めている。

 いずれにしてもエコカーや自動運転車あるいはコネクテッドカー(つながるクルマ;ICT端末として緊急通報や盗難車両追跡システムなどの機能を有する自動車)といった環境・安全対応に加え、「つながるクルマ」の開発は従来のクルマの部品が約3万点もあると言われる中で、単体部品からシステム化に大きく変貌していく。必然的にIT(情報技術)やAI(人工知能)関連企業も連携してくる。

 そこでは、従来の自動車メーカーが「主」、部品メーカーが「従」という関係が、今後は部品メーカーが「主」、自動車メーカーが「従」という逆の関係もありうるのだ。「この部品がなければ競争力のあるモビリティとして生き残れない」というサプライヤー戦略のこれからの方向にも結びついている。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫」

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