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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

習近平と王岐山の苛烈な“反腐敗闘争”はいつまで続くのか

加藤嘉一
【第91回】 2016年12月6日
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機関雑誌に掲載された
王岐山の談話

 共産党の第19回全国代表大会まで1年を切った。

 この段階、そしてこれから約1年の間、共産党指導部として何よりも率先して徹底しようと考えていることが、「共産党体制内部における安定と団結の強化」であるように見える。10月下旬に開催された六中全会において、党員、特に高級幹部に対して党の紀律を徹底して守ること、党への忠誠を断固として誓うことを要求し、習近平総書記を共産党中央の“核心”に据えたことは、19回党大会を平穏に迎え、円満に行うための布石であるとも言えた(過去記事参照:天安門直後と似た情勢!?習近平自ら権力を集中させる理由、2016年11月8日)

 六中全会閉幕後、全国政治協商会議が王岐山中央規律検査委員会書記を招待し、報告会を主催したこと(2016年10月31日)は上記の過去記事でも述べた。それから約1ヵ月が経過した12月2日、党中央が発行する機関雑誌《求是》に、同報告会における王岐山談話が約6000字で掲載された。国家指導者の談話を《求是》が少し間を空けて掲載することは珍しくない。

 例えば、昨年10月29日に習近平総書記が第18期五中全会第2次全体会議で発表した談話を、同誌が2016年1月1日に掲載している。私から見て、「談話発表」→「雑誌掲載」の対象になる談話の共通点は、党指導部がその内容を党内部で浸透させ、外部に対して宣伝したいという政治的意図を抱いていることである。

 本稿では、習近平総書記と二人三脚で“反腐敗闘争”を引率してきた王岐山書記による上記談話から、私から見て共産党がいま何を考えているのか、そして共産党の安定と団結にも直結する“闘争”の内側にある実情や展望を知りうる上で有益と思われる部分をピックアップし、読み解いていきたい。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

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