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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

“二重の恐怖”に怯える中国官僚から
“改革派”は生まれるか?

加藤嘉一
【第51回】 2015年5月12日
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二つの会議から読み解く
“習近平政治”が今ある段階

経済が減速する中国において、習総書記の政治的影響力は経済政策にまで及んでいる?
Photo:zorabc-Fotolia.com

 本稿では、最近、中国共産党指導部によって開催された二つの会議をケースに、“習近平の政治”がいま現在どの段階にあるのかをアップデートしてみたいと思う。

 二つの会議とは、4月30日に行われた中国共産党中央政治局会議と5月5日に行われた中国共産党中央全面深化改革領導小組(略称“深改組”)の第十二回会議である。中央政治局は共産党の最高意思決定機関であり、中央深改組は2013年11月に開催された三中全会の際に設立された、党の改革事業をトップダウンで推し進め、コーディネートしていくワーキンググループである。

 中央深改組は習近平総書記自らが設立を決定し“組長”に就任しただけあって(副組長は李克強、劉雲山、張高麗政治局常務委員)、現政権が改革を推し進めるための核心機関であると言える。中央深改組に注目が集まるなかで、中央政治局(1927年5月、第五回党大会一中全会時に設立)の政策決定機関としての存在・役割が形骸化しているという見方も、共産党内や国内外におけるチャイナウォッチャーの間にはあるようだ。

 中央政治局の首長は習近平総書記であり、4月30日の会議も習総書記本人が司会を務めている。中央深改組が設立されたことから、政治局の権限が相対化される、あるいは負担が軽減されるということはあっても、政治局が共産党の意思・政策決定にとって重要ではなくなるということは考えづらいだろう。

 習近平政権がスタートして約2年半が経ったが、中国共産党体制下にある異なるワーキンググループや党・政府・軍などの機関が互いにどのような関係性を持ちながら政策が協議され、決定され、運営され、評価されていくのかという問題は極めて重要であり、注意深く追っていきたいところである。
  
「新常態(ニューノーマル)という新しい情勢下において、各レベルの幹部による経済政策は、旧い仕事のやり方への依存から脱却しなければならない…幹部たちが勇気を持って政策を開拓し、行動を起こすことを奨励・支持しなければならない。措置を定め、政策を決定し、仕事を掴み取るのだ」(4月30日、中央政治局会議)

 「皆さんが争って改革の促進派になるように促さなければならない。責任感を持ち、積極的に困難に立ち向かう人材を起用する方向性を明確にしなければならない。改革を望み、改革を企み、改革に長けた幹部を起用し、そんな幹部が果敢に挑戦し、重責を担えるように奨励するのだ」(5月5日、中央深改組会議)

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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