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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

天安門直後と似た情勢!?習近平自ら権力を集中させる理由

加藤嘉一
【第89回】 2016年11月8日
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10月下旬に開催された六中全会
“反腐敗闘争”を内外に知らしめる!?

 10月24~27日、中国共産党の第18期中央委員会第6回総会(六中全会、以下“会議”)が北京で開催された。約1年後の来秋に党の第19回全国代表大会を開催予定というタイミング。共産党指導部として、この時期に何を求め、謳い、打ち出していくのかを占う上で、注視するに値する一つの政治会議であった。

 197人の中央委員と151人の中央委員候補などが出席した会議では《新たな情勢下における党内政治生活に関する若干の準則》(以下“準則”)、《中国共産党党内監督条例》(以下“条例”)《党の第十九回全国人民代表大会開催に関する決議》(以下“決議”)という三つの公式文書が採択された。決議は2017年下半期に党の第19回大会を北京で開催する旨を決定した。

 会議はこれまで中央候補委員だった趙憲庚・中国工程院副院長と咸輝・寧夏回族自治区副書記の2人を中央委員に昇格し、中央政治局がすでに決定していた、王眠・遼寧省元書記(元中央委員)、呂錫文・北京市元副書記、範長秘・蘭州軍区元副政治委員、牛志忠・武装警察部隊元副司令員(以上、元中央委員候補)に対する党籍剥奪の処分を確認した。

 処分を確認された4人のうち、王と呂に対しては中央規律検査委員会が、範と牛に対しては中央軍事委員会が党紀律違反に関する審査報告を作成し、中央政治局の决定、そして今回の会議における確認につながった。今期共産党指導部を率いる習近平総書記が、王岐山中央規律検査委員会書記を右腕に大々的に展開してきた“反腐敗闘争”が、党・軍を跨いで着実に進んでいることを、このタイミングで内外に知らしめようとする政治的意図を感じさせた。

 私は会議が北京で開催されていた期間、遼寧省と浙江省からその模様を観察していたが、三つの文書のうち、準則と条例はいずれも共産党の権威を誇示し、共産党体制内部における団結と安定を強化しようという“反腐敗闘争”の範疇を超えるものではなかった。

党員・幹部に対して
模範的な政治生活を示せと要求

 会議が採択した六中全会のコミュニケは、党内における幹部、特に高級幹部に対して厳しく自らを律し、決して党紀律に違反する行動をしてはならないことを要求すると同時に、党中央の権威を断固として擁護し、党中央による集中的・統一的な領導の堅持を呼び掛けた。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

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