政治に必要な経営力
ワタミの渡辺美樹前会長が東京都知事選出馬を表明した。素晴らしいことだ。私は応援したい。なぜなら成功した経営者こそ今の政治に必要な人材の要件を満たしているからだ。それは以下の通り。
1.経営センスがある
2.お金に困っていない
3.業界の常識にとらわれない。
私は常日頃から「ゼロから事業を作り出した経済人こそ政治を目指すべきだ」と主張してきた。そして若手起業家のための政治経済勉強会も開催している。
まず経営センス。政治とは、究極的には、血税、社会保険料、国債発行による借金をどういう理念で運用していくかという、運用事業である。血税、社会保険料、国債発行によって調達した資金を、国民の生命・財産・誇り・幸せを守り増やすために、運用するのが政治家の役割なのだ。インフラ投資、教育、格差是正、高齢者福祉、子育て支援、それぞれの比率を全体のいくらくらいにして使うのか?そのために、どの税をどのくらい掛けるのか?社会保険料は誰からどれくらい負担してもらうのか?国債発行はどれくらいの金額とし、それらの借金をどれくらいのペースで返済していくのか?
つまり、政治とは国家や自治体の経営そのものなのだ。これは経営者が最も得意とするところである。経営とは社員、顧客、取引先を説得して交渉する仕事である。この力量も政治が求めている。国民や他党の議員への説得や説明責任遂行はおろか、同じ党の議員にさえ、説得や説明責任遂行ができずにつまづくリーダーばかり登場し、政治は混乱している。
経営者には先見性があり、市場や顧客と対話する能力に優れ、顧客や従業員を大切にして幸せにすることができる。それはつまり、行政担当者の能力を最大限に生かし、やる気を刺激して、目的である国民、市民の幸せを実現するということだ。
経営者として、磨かれた交渉力・プレゼンテーション能力、説明責任遂行能力が何より政治に求められる。