【希望ケ丘高校】華麗なる卒業生人脈!ワタミ創業の渡邉美樹、指揮者の山田和樹、元財務官の行天豊雄…国際的な指揮者の山田和樹氏 Photo:Yves Petit/Besancon International Music Festival/AP/AFLO

「第2の小澤征爾」を期待される
国際的な指揮者の山田和樹

 横浜市旭区にある神奈川県立高校だ。前身は神奈川県で最初の公立旧制中学で、全国の県庁所在地にある「一中伝統校」のひとつに数えられる。略称は「希高(きこう)」あるいは「神高(じんこう)」だが、年配者の間では「神中(じんちゅう)」で通っている。

 国際的な指揮者・山田和樹が今、乗りに乗っている。2025年6月にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演にデビューする。日本人の指揮者が新たにベルリン・フィルで振るのは、2011年の佐渡裕(京都市立堀川高校・現京都堀川音楽高校―京都市立芸術大学卒)以来になる。

 国内では、2026年4月から東京・池袋の東京芸術劇場で音楽部門の芸術監督に就くことが決まっている。

 その山田は希望ケ丘高校卒で、在学中に吹奏楽部で指揮を経験したことがあるという。東京芸術大音楽学部指揮科に進学、22歳にしてベートーベンの交響曲を全曲演奏するなど、幅広いレパートリーを持った。2009年には指揮者の登竜門とされるフランスのブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した。日本人としては1959年に小澤征爾が優勝して以来8人目だった。以来、欧米や国内の交響楽団から引きも切らない。

 1979年1月生まれで46歳の今、未来のマエストロ(巨匠)の座に王手をかけつつある。「第2の小澤征爾になってほしい」と音楽界全体からの期待が膨らんでいる。

 音楽では、クラシック、現代音楽の作曲家で保守派文化人の一人にも数えられた黛敏郎が、希望ケ丘高校の前身である旧制横浜第一中学の卒業だ。代表作の一つに『涅槃交響曲』があるが、映画音楽やテレビ番組のテーマ曲なども多く手がけた。

 昭和期の作曲家であるレイモンド服部(服部逸郎)、バンドネオンの演奏家としてタンゴ界では有名な門奈紀生、作詞家の仲智唯らもOBだ。

 昭和期の作曲家、指揮者の小船幸次郎は、1932年にアマチュア・オーケストラの「横浜交響楽団」を創立した。

 作曲家の秋岸寛久、NHK交響楽団首席フルート奏者の神田寛明もいる。

 野中“まさ”雄一は作曲家、編曲家で、AKB48グループで最多楽曲数の編曲を手がけ、メインアレンジャーの一人になっている。

 倉田信雄はピアニスト、音楽プロデューサーで、さだまさしのアルバムづくり(CD制作)などで音楽監督を務めている。