生成AIやAIエージェントの爆発的な普及により、データセンター(DC)がかつてないほどの悲鳴を上げている。その最大の原因は、圧倒的な計算能力と引き換えに激増するGPU(Graphics Processing Unit)サーバーの「熱」だ。

「最新のGPUは消費電力が桁違いに高く、もはや空冷式では熱を処理し切れません。次世代GPUは水冷がほぼ必須となることが決定的であり、DCの新設や用途変更を検討する企業には、“水冷ありき”の計画が迫られています」

そう危機感を募らせるのは、ゲットワークス執行役員事業統括部長の林竜太朗氏だ。
「壁内・床下・天井の配管をほぼ全て造り直すことになる。既存の建物をAI対応に改修するのは、現実的ではないと思っています」

既存DCの水冷化対応が簡単ではない理由

既存の建物型DCを水冷化するのは、簡単なことではない。まず「耐荷重」の壁に阻まれる。GPUサーバーは1㎡当たり約2tもの重量があり、既存の床では対応し切れないことが多い。空冷から水冷に切り替えるには6〜10t超の冷却機器が必要で、屋上への設置スペース確保から配管・電気設備の全面改修まで、大がかりな工事が避けられないからだ。

ならば新たに建て替えればよいかといえば、そこには「時間」という壁が立ちはだかる。建物型DCの新設には3〜5年を要するのに対し、GPUの世代交代は1〜2年という早さで進む。

「計画を立てて建物を造っている間に、技術が陳腐化してしまいます。5年後のサーバー消費電力や発熱量が予測困難な中で、巨額の投資計画が破綻するリスクすらある。AIの進化スピードにインフラ構築が全く追い付いていないのが現状です」と林氏は指摘する。

この「時間」と「物理的制約」の壁を突き崩すインフラとして、今注目を集めているのが、ゲットワークスの「コンテナ型DC」だ。

同社は2002年の設立以来、一貫してITインフラの構築・運用を手がけてきた。13年にコンテナ型DCの初号機を発表。東日本大震災を機に「動かせるデータセンター」の必要性を確信し、実証実験と開発を重ねてきた。現在、商用稼働するコンテナ型DCの構築実績は300台を超え、サーバー3000台以上、GPU1万枚以上の運用実績を誇る。

加速度的なAI時代に対応。最短10日で構築し、冷却効率が高い「コンテナ型DC」という第三の選択肢海上輸送用コンテナ(ISO規格)を改造したコンテナ型DC

昨今、市場には「コンテナ型」をうたう製品が増えつつあるが、同社のアプローチは他社と決定的に異なる。

「私たちが使っているのは、実際の海上輸送用コンテナ(ISO規格)を改造したものです。単なる『コンテナの形をした建物』ではなく、トラックで運べる“本物のコンテナ”であることが、圧倒的な構築スピードと可搬性、そしてコストの根本的な差異を生み出しています」

なぜ、海上輸送用コンテナが「AI時代のDC」に最適なのか。最大の理由は、重量級の水冷設備をのみ込める圧倒的な「強度」にある。

「ISO規格コンテナは元々重い荷物を運ぶため、20ftで二十数tの荷重に耐えられます。だからこそ、重量のある水冷設備や最新サーバーを難なく設置できるのです。さらに、建築物に該当しないため時間のかかる建築許可申請が不要です。ハイパースケーラーでも3〜5年かかるインフラを、完全自社設計により最短10日というスピードで納品・稼働させることができます」

さらに、大きなメリットが優れた冷却性だ。密閉されたコンテナ空間は冷却効率を極限まで高める。建物全体を冷やす無駄がなく、サーバーの発熱量に対して最適な冷却能力を設定できるからだ。同社のDCにおける電力使用効率を示すPUE(数値が1.0に近いほど高効率)は、フリークーリング時で1.03、水冷GPUサーバー稼働時でも1.07〜1.10という驚異的な数値をたたき出している(コンテナ内のPUE)。

「当社は新潟県湯沢町の拠点などで、雪解け水や地下水、冷涼な外気を活用しています。通常、冷水を作るのに15kWh近くの電力を消費するところ、井戸水を活用すれば約2kWhまで削減できます。この圧倒的な効率化がPUEを下げる要因です」

加速度的なAI時代に対応。最短10日で構築し、冷却効率が高い「コンテナ型DC」という第三の選択肢新潟県の「湯沢GXデータセンター」。コンテナ型DC内の冷却には、雪解け水や地下水、冷涼な外気を活用している

技術の進化への追従も早い。26年9月からは米Supermicroと共同開発した最新GPU(HGX Rubin NVL8)搭載のコンテナ型DCソリューションの出荷を開始し、12月には商用稼働させる。これは全熱量の99%以上を液体で冷却する最先端システムだ。

そして、同社最大の強みは「自ら運用している」点にある。

「ハードを売って終わりではなく、自社DCでクラウドサービスを展開し、お客さまのサーバーを預かるハウジングも行っています。運用・保守で得たリアルな知見があるからこそ、お客さまの運用まで伴走できる存在だと自負しています」

水冷施工技術者の育成プログラムも開始

現在、同社はNTTドコモビジネスやエクシオグループなど大手パートナーとの連携を強化している。電力逼迫が叫ばれる都市部を避け、東北電力と協業した宮城県七ヶ浜町の拠点や、26年3月に開設した北海道苫小牧市の拠点など、「電気がある所にデータセンターを持っていく」という発想を具現化している。

これは、地方の未利用電力や自然環境を活用する地方創生にも直結する。

さらに水冷化シフトに合わせ、水冷施工技術者を育成するプログラムも開始。月産能力を70台から200台へ引き上げる構えだ。

加速度的なAI時代に対応。最短10日で構築し、冷却効率が高い「コンテナ型DC」という第三の選択肢「DCの『分散化・地方化・高速化』で、日本のAI基盤強化に貢献していきます」と林氏は強調する

「AIインフラには、持続性と環境への配慮が不可欠です。先が見えない時代だからこそ、後からどうにでも拡張・改修できるフレキシブルなコンテナ型が力を発揮します。DCの『分散化・地方化・高速化』で、日本のAI基盤強化に貢献していきます」と林氏は強調する。

AI投資を急ぐあまり、数年がかりの箱物建設に莫大なコストをかけてはいないだろうか。最新鋭のGPUを今すぐ、最も高い電力効率で動かせるゲットワークスの「コンテナ型DC」は、経営層が真っ先に検討すべき確実な「第三の選択肢」といえよう。

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