江戸の名物「伊勢屋、稲荷に犬の糞」。一説によると、江戸の街には6000を超える稲荷社があったとか。その頭領、どころか関東の稲荷の総元締めが、王子稲荷である。

 大晦日の夜、関東一円の狐が王子に集まったという。これを今に伝えるのが、狐メイクで王子稲荷に初詣する「王子狐の行列」。同じ王子の飛鳥山の花見は、上野の山ではご法度の歌舞音曲が許されていた。江戸の昔から、北区はイベントの宝庫。区内の商店街もその伝統を受け継いでいる。

ダイエー、西友――総合スーパー
なんかに負けちゃあいられない!?

 再開発による建て替えのため、今は一時閉店中だが、赤羽駅東口のダイエーができたのは1969年。店舗面積1万㎡以上の大規模総合スーパーとしては、23区の第1号店だった。

 その隣にある西友も、40年近い歴史を持つ。現在営業しているのは一部だけだが、残りの部分に西友の本社が入っている。そんな北区だから、総合スーパーの集積密度は高い。10K㎡当たりの店舗数は、豊島区に次ぐ2位となっている。

北区の商店街――専門店の大敵“少子高齢化”が最も進んでいるのに、販売効率が突出して高い不思議

 かたや専門店は、1店当たりの平均販売額が荒川区に次いで低い。食料品専門店も下から3番目。これでは勝負にならないか。いや、そうではないのが商店街の面白さだ。

 所得水準が20位の北区は、人口1人当たりの小売販売額も21位と振るわない。ところが、食料品専門店ではこの順位が15位に上がる。さらに、総小売販売額に占める食料品専門店の販売額の割合は4位。つまり、23区で4番目に食料品専門店がよく使われている。