経営×総務
経営総務研究所
【第4回】 2017年1月12日
著者・コラム紹介 バックナンバー
ダイヤモンド・オンライン編集部

なぜ「総務」と「経営」の距離は遠いのか?

小山義朗さんは、ソニーマーケティングの初代総務部長を経て、ソニーの総務センター長、ソニーGPの役員を歴任、ソニーにおいてFM活動の中心的な役割を果たしてきた総務のプロ。総務トップとして経営と密接に関わってきた小山さんに、総務の現場と経営のあるべき姿について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン事業部部長 田村淳一)

専門性が高まっている総務の仕事

――「経営×総務」で取材を進めてきて「『経営』と『総務』がなかなか結びつかない」という声をとてもよく聞きます。ただ、総務の中でも、ファシリティマネジメント(FM)は経営戦略に直結する部分で、経営との距離も近いと思います。実際、小山さんは、ソニーの総務部門で、FMの活動を通じて経営と密接に関わられていたということですが、具体的にどのようなことをされていたのですか。

小山 私はソニーで、ソニーファシリティマネジメント(現ソニーコーポレートサービス)という会社の社長を務めましたが、そこではFMの領域である施設管理や不動産管理だけでなく、いわゆる一般総務の領域もやっていました。受付やセーフティ、セキュリティの分野などです。

小山義朗(こやま・よしろう)/ソニー入社後、工場やオフィスビルの建設関連業務を担当。1988年からオフィス管理業務を担当。オフィススタンダード、社内家賃制度など新しい施策を展開。日本のFM先駆者として活躍。97年にソニーマーケティング初代総務部長。業務のアウトソーシングパッケージ化や購買部門を持たない仕組みを構築。7カ月後にソニーF&S戦略部長としてグローバルにファシリティ&セーフティ戦略を担当。2003年同総務センター長としてグローバルのファシリティ環境、安全衛生、サイトセキュリティ戦略、ガバナンスの包括マネジメントを担当。07年~09年ソニーファシリティマネジメント社長。12年1月より一般社団法人ファシリティオフィスサービスコンソーシアム(FOSC)代表理事、13年7月より小山エフ.エム.ブランド代表。

 セーフティやセキュリティの分野はかなりエキスパートというか、プロフェッショナル化が進んでいて、セーフティでいえば、労働安全衛生に関わることや有害物質などの管理体制のこと、セキュリティの分野では警備などで、ソニーはグローバル企業ですから各国の現場と連携しながらやっていました。

 あとは、ソニーは環境への意識が強い会社なので、環境影響負荷などを確認して、後々問題ないようにするといった領域もソニーファシリティマネジメントには含まれていましたよ。

 もちろん、オフィス作り、働きやすい環境づくりもFMが司る部分として、担当しました。

――全体的に専門性が高い業務内容という印象ですね。

小山 「総務」ではなく「FM」という括りにしているせいかもしれません。イメージとして、総務よりFMと言ったほうが専門性が高く、経営に近いイメージがありませんか?(笑)

――確かにそれはあるかもしれません。

小山 でも、いわゆる「総務」だって、高い専門性が求められているんですよ。

 最近は、総務領域の中の特にセキュリティのところ、個人情報の管理、マイナンバーも含めたPマーク(プライバシーマーク:個人情報を適切に管理する体制を整備しているとして使用が認められる標章)絡みの部分が非常に重要になっていますよね。個人情報の流出や、情報の盗難や漏洩は経営として大きな問題です。そういうところは、物理的セキュリティと情報セキュリティを一体化して管理していくような仕組みや連携が必要になってきます。この総務の領域は、経営のリスクに直接関わるものだともっと認識されるべきだと思います。

経営×総務 特集TOPに戻る



 

 


経営総務研究所

「総務部」を単なる社内の何でも屋的役割ではなく、社内リソースを統轄する戦略部署とすることで会社は変わる――。COO、CFOと並ぶ「CHRO」が誕生している人事部と同様、総務にもCクラスを誕生させることが求められるのではないか。総務を、経営会議に参加する、経営戦略の一端を担う「戦略総務」化することで企業がどのように変わるか、経営に資する総務の在り方を探る。

「経営総務研究所」

⇒バックナンバー一覧