ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週のキーワード 真壁昭夫

震災から立ち直り真の「新しい日本」をつくれるか?
我々が捨てるべき過去の経験と求められるリーダー像

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第169回】 2011年3月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

震災で考えた「本当に役に立つ人」
過去の成功体験は邪魔になることも

 いまだ多くの方が大震災で厳しい状況にあるなか、不謹慎かもしれないが、ぜひ書かせていただきたいことがある。

 今回の大震災の発生以降、はっきりわかったことがある。それは、社会のためになる人と、ためにならない人がいることだ。具体的には、混乱の中で、一生懸命被災者や社会のために働いている人と、自分のことしか眼中にない人がいる。

 福島の原子力発電所で発生した被害は甚大で、放っておくと、さらに多くの人に被害が広がる可能性が高いという。それを防ぐために、東京電力や関係企業の従業員、自衛隊や消防庁などの人々は、文字通り命がけの作業をしている。

 また、宮城県や岩手県などの被災地では、それこそ寝食を忘れて、被災者の救援活動を行なっている人たちがいる。「災害を見て、いてもたってもいられず、ボランティアにやってきた」という人たちは、被災地で多くの人々を助けている。

 さらに、駅の構内で自発的に“節電”を呼びかけている若者もいる。彼らは、いずれも日本の社会のために「何か」をしている。

 その一方、東京電力の経営陣は、震災発生の直後から海水注入の決断など、適切な初動対策を打ち出せなかったばかりか、いまだに福島原子力発電所の今後の処置について、はっきりした態度を示すことができない。

 また、プロ野球関係者の中には、電力事情が悪化して計画停電の実施を余儀なくされても、3月29日の開幕に固執し続けた人たちがいた。

 今は、1人でも多くの人命を助けるために時間を使うべきで、誰かの責任や不手際を追及するために時間を使うべきではない。しかし、今誰がどのようなことを主張し、何をしようとしているか、私はしっかり覚えておきたい。

 現在、我々の目の前で起きていることは、間違いなく未曽有の自然災害だ。実際、過去に経験したことのないことが発生しているのである。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


今週のキーワード 真壁昭夫

経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。

「今週のキーワード 真壁昭夫」

⇒バックナンバー一覧