日本人が苦手なグローバル・ビジネス。本連載では、そのノウハウについて事例をもとに紹介していきます。日本企業にとってグローバル市場の開拓は急務。「今どうしたらいいかわからない」と困っている企業やビジネスパーソンに向けて、差し迫ったビジネス課題がスムーズに進むよう、すぐに現場で役立つ情報をお届けします。
「それって、常識ですよ。普通はそうやりませんか?」
「いや、そうとは限りません」
グローバル・ビジネス化が急速に進む中、日本のビジネスパーソンがはじめて海外に赴任して壁に突き当たるのが「常識」です。
多国籍プロジェクトでは、仕事がうまく進むにつれ、メンバー同士には共通した認識があると錯覚します。
仕事の判断を仰ぐ際には、常識(Common Sense)を持ち出すことがよくあります。ところがほとんどの場合、常識だと思っていたことにみんなから賛同を得られません。
グローバルな現場では定番の問題です。
まず、グローバルでいう常識とは、
A.仕事の進め方・やり方
B.仕事の慣習
C.ビジネスマナー
以上のように定義するとわかりやすくなります。
日本の常識、通じない海外
これからは多くの外国人と仕事をしなければなりません。海外の現場ではどのように人々の考えを理解し、何を確認できるとみんなの同意が得られるのでしょうか。
例えば、仕事の進め方やり方ですが、日本では「こうするとうまくいく」という成功体験が、当たり前の常識として現場に引き継がれています。ところが、そのノリで海外の従業員に説明するとこんな反応が返ってきます。
「売上拡大のためには、営業を強化することが必須です!」
「いや、そのやり方が功を奏するとは限りません。他にも方法はあるはずです。」
日本人は思わず、「そんな反論あり得ない」と絶句することもしばしば。このように海外の現場では、日本で培った成功体験と常識を打ち出しても、現地の人々には有効な手段として伝わらないことがよくあります。