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原発事故の対応を遅らせた「不信のトライアングル」
リスク下で信頼を得る意思決定と、失う意思決定の違い

河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長],渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第27回】 2011年4月27日
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政府・東電の対応を全く評価しない国民と
諸外国との「リスクマネジメント」の差異

 福島第一原子力発電所の事故が起こって、間もなく1ヵ月半が経過する。事故はチェルノブイリ同様のレベル7と評価されている。そのチェルノブイリでさえ、事故発生から10日後には石棺の作成に着手していたのに対し、福島第一ではいまだに付け焼き刃の対応に追われ、示したはずの収束計画を実行できていない。

 今回の事故に対する政府と東京電力への評価は、厳しいものばかりだ。特に海外のメディアは、事故直後から警鐘を鳴らしていた。

 諸外国、特に自国でも原発を運転している国々は、事故後1日か2日で自国民に避難勧告を出した。「東京も安全ではない」という認識のもと、フランスは全ての在東京フランス人に帰国を勧告し、米国も原発から80キロ以内にいる米国人は全て避難させたうえで、東京在住の米国民にも避難推奨の通達を出した。

 ドイツ、ノルウェーなどは放射性物質の飛散状況シミュレーションをいち早く公開し、風向きによっては九州や沖縄まで被害が及ぶと警鐘を鳴らしていた。

 一方で、日本政府の情報開示およびリスクマネジメントは、これら外国の決定に比べて格段に遅く、また曖昧なものであった。この点については、筆者だけの印象ではなく、多くのメディアやネットでも指摘されていることである。

 今多くの国民は、政府の発表する情報に懐疑的であると思う。枝野官房長官が「ただちに健康被害はない程度の放射線」と会見したところで、国民は「本当か?『ただちに』とはどういう意味か?」という疑念を持ってしまう。

 もう少し言うと、政権の延命や自分たちの既得権益を守りたいあまりに、国民の安全をないがしろにしているのではないか、つまり「緊急時フリーライダー」なのではないかという疑念を今の政府は持たれている。

 政府のみならず、東京電力の対応や発表についても、国民は同様の感想を抱いているだろう。

 なぜ、このようなことになってしまったのだろうか。

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河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長]

ワトソンワイアットを経て、「人と組織のマネジメント研究所」(株)道(タオ)を設立。ベストセラーとなった『ニワトリを殺すな』をはじめ、『デビルパワー エンジェルパワー』『育ちのヒント』(共に幻冬舎)など著書多数。慶応丸の内シティーキャンパス客員ファカルティー。

渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


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