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150フィート以内にいる人はみな友達?
写真投稿アプリ「Color」が示す新たなソーシャルの形

中島 駆 [フリーライター]
2011年4月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
「Color」のデモ画面。撮影した写真は、TwitterやFacebook、メールで告知することもできる。

 位置情報を共有してコミュニケーションを図る「foursquare」、あるいは写真投稿に特化した「Instagram」など、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は様々に進化しつつある。

 そんななか、写真や動画を軸にした「Color」というスマートフォン用アプリが注目を集めている。

 一見すると、「foursquare」「Instagram」と似たイメージを抱く「Color」だが、その設計思想は従来のSNSのイメージを大きく覆すものだ。

 「Color」の特徴は、大きく2つある。

 まず、コミュニティの枠をスマートフォン同士の「物理的距離」に置いている点である。投稿した写真や動画は、150フィート(約45メートル)圏内にいる全ての「Color」ユーザーに公開されるのだ。逆に言えば、近くにいるユーザーの撮影した写真全てが、自分のスマートフォンに流れ込んでくるのである。

 「Color」の活用例でよく引き合いに出されるのが、結婚パーティなどの席だ。友人たちが「Color」を使って撮影した写真は、あっという間に自分のスマートフォンでも共有される。たとえば、友人が撮影した自分の写真を欲しいと思ったら、わざわざ友人から転送してもらう必要はない。友人が撮影した瞬間、すでに自分のスマートフォンの中にその写真は存在するからである。

 2つめの特徴は、「Post-PCの世界のためのSNS」であるという点だ。「Color」を使う上では、従来のSNSのような「登録」「ログイン」「申請」「許可」といった作業は全く必要ない。スマートフォンで「Color」を立ち上げた瞬間、そこから150フィート圏内がSNSの場となる。

 ただし、一時的に「場」を共有したからと言って、永遠に見知らぬ他者と写真や動画を共有するわけではない。カフェで同席した人物と、一時写真の共有を図ることはできる。だが、その人物との接触がその後もなければ、やがて写真は表示されなくなる。逆に、夫婦や同僚といった、継続して付き合いのある人物の投稿は、「近しい関係」と判断され、長く閲覧することができる。

 つまり「Color」の面白いところは、スマートフォンが自動的に自分のリアルな人間関係を整理し、把握してくれる点にある。これが「Post-PCの世界のためのSNS」と言われる所以である。これまで、ソーシャル・ネットワークの構築は、主にPCを介して取捨選択するのが一般的だった。それをスマートフォンのみで、それもかなりの高い精度で実現してしまうのが「Color」なのだ。

 もちろん、このような「Color」の仕組みには、賛否両論あるだろう。たまたま同じ場所にいたという理由だけで、見知らぬ他人に写真を見られることに抵抗を感じる向きも多いことと思う(ちなみに、意にそぐわない投稿を拒否するブロック機能は備えている)。たとえば、薄い壁1つ隔てた部屋に住む、それほど親しくもない隣人と写真を共有することを私たちは望むだろうか? あるいは、気に入らない上司とならどうか?

 「リアルタイムでの活動のオープン」を設計思想とする「Color」は、そうした見知らぬ隣人や上司との情報共有を「是」としているように思える。もしかしたら、隣人はあなたと共通の趣味を持っているかもしれない。あるいは写真を通じて、上司の意外な一面を知ることになるかもしれない。「Color」は、そこから生まれる新しい、かつリアルな世界でのコミュニケーションを促進させる可能性を持っている。

 「Facebook」の隆盛以降、我が国のネット社会は急速に匿名性の時代からオープン化の時代へとシフトしつつある。「Color」が提唱する、新しいソーシャル・ネットワークのかたちは、今後も活発な議論を呼ぶに違いない。

(中島 駆)


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