“欠損バー”が話題に
「見世物小屋」との声も

 そんなときだった。当時、仕事関係で知り合った出版社勤務の男性・岡本氏が、「欠損女子が接客する、“欠損バー”をオープンするから、参加してほしい」と打診されたのである。“欠損・義手アイドル・琴音さん”の誕生前夜だ。

 場所は歌舞伎町のゴールデン街のバーを2日間だけ借り、店名を「ブッシュ・ド・ノエル」と名づけた。名前の由来を聞くと少々ドキリとするが、「切り株」という意味だ。そして、オープンをツイッターで告知すると、かねてからのファンたちをはじめ幅広いお客が集まり、異様な熱気とともに店内は両日とも満席に終わった。

「男女問わず、いろんな方がいらっしゃいました。欠損部分にしか興味のない人もいれば、私よりも義手に詳しいウンチクを持っている人、義足の人、それから、純粋に私をアイドルとして応援したいと会いに来てくれる人もいます。胸の大きいアイドルが“胸を売り”にするのと同じように、基本的には、私の場合は私の手がメインだと思っていますが、ずっと接するうちに、私自身もアイドルとして見てくれるようになるんです」

 筆者もそんなオープン日にお邪魔した1人であり、直後、とあるウェブサイトに同店の記事を書いた。その反響はすさまじく、“欠損女子”という言葉が瞬く間に広がるとともに、様々な意見が寄せられた。好意的な意見や、「障害者に雇用があっていいと思う」という声のほか(琴音さんたちは、そもそも他の職業に就いているのだが)、「見世物小屋じゃないか」というネガティブな声も少なくなかった。

通常の芸能人も「見世物」
自分は珍しいから「見世物感」が強い

「別にどんな意見があっても、何でもいいです。好きな人は好きだし、そうじゃない人には、私が何を言おうが変わらないと思いますし。私のところにも『見世物』という声が届いたことがありますが、『一理あるな』と思いました。でもそれって、たとえば、(通常の)芸能人も同じ見世物の一人じゃないかな、と思います。私たちは、珍しいから、“見世物感”がより強いんじゃないかと思うんです」

 現在は琴音さんたちのアイドル活動を運営する立場にいる岡本氏も、こう話す。

「見世物は見世物ですよ。女性に、『あなたは女ですよね』と言っているのと同じで、見世物に『見世物』と言われても、と。それを琴音さんたちはみんな、根底では理解していますしね」

「イヤな意見は頭から消しちゃうから、あまり傷ついていない」と話す琴音さんの元には、好意的なメッセージばかりが届く。