「琴音ちゃんのおかげで元気が出た」

「琴音ちゃんがいるから頑張れる」

 アイドル視するファンからそう言われるたびに、「うーん、私、アイドルなのかなあ?」と躊躇もするが、最近では自覚のようなものも芽生えた。

毎日楽しく生きている
「かわいそう」と言うのは祖母だけ

「私は受け入れてもらえたんだな、と思ったので、それに応えるだけです。人のためになっているんだなあ、と。人のためになるって、嬉しいことですよね」

 だから琴音さんは、某AKBがそうするのと同じように、可愛らしい自撮り写真をツイッターにアップする。美尻グラドルがヒップを突き出した写真をアップするのと同じように、欠損部分を強調した写真もアップする。

 バーをオープンしたのは2015年10月。それから数ヵ月に1度の割合で定期的に開催しているが、このほんの1年半の間で、琴音さんは「時代の流れ」を感じているという。

「当時はまだ私のことを、『かわいそう。不便でしょう?』と言ってくる人がいたけど、今は、『私の右手、こうなってるんだ』と明かすと、『それの何が悪いの?普通と全然変わらないじゃない』と言ってくれる人が増えましたね。いろんな人がいて、それが当たり前の世の中になってきたんじゃないでしょうか」

 そんな中、今も変わらず「かわいそう」と言うのは、琴音さんの祖母だけ。おそらく、15歳当時の事故の記憶がこびりついているのだろう、会うたびに「かわいそう」と言う祖母に琴音さんは、「私はかわいそうじゃないよ」と返している。

「私は毎日、楽しく生きています。傷つけるような人が周りにいないからか、とてもいい環境にいると思っています。差別意識を持っている人もいるだろうなとは思いますが、何が善で、何が悪かなんて、わからないですし。いろんな人がいますからね」