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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

テーブルウェア時代を迎え目覚める
中国の食器市場の鉱脈

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第51回】 2011年5月5日
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 「テーブルウェア」という言葉を日本語でうまく訳せるだろうか。食器全般のことを指しているが、それではなぜダイレクトに「食器」という言葉を使わないのだろう。日本人が横文字に弱い、という指摘だけでは片づけられないものがある。だから、その訳をわざわざ洋食器と特定する人もいるようだ。つまり「食器」という言葉にないある種の彩がテーブルウェアという表現にあるため、その言葉が使われるようになったのではないかと私は思う。

 実は、テーブルウェアを中国語に訳す場合も、同じようにややこしい問題が出てくる。日本語の「食器」は中国語では「餐具」となる。これからもおそらくその訳のままだろうと思うが、テーブルウェアという言葉にある彩を考えると、そのままの訳でいいのかと思わないでもない。

 幸い、中国語には日本語のカタカナのような表現手段がないので外来語表現の氾濫を見ることはないだろう。

 しかし、生活水準が向上してきた中国でも食器の彩を求める時代が訪れてきた。今から7年前から、私はすでに日本の全国紙で、隣の国である中国の食器市場を見逃すな、と呼びかけていた。中国人の居住事情が急速に改善され、中国のテレビドラマを見てもわかるように、主人公たちの家は広くて豪華だ。室内のインテリアも凝っている。だが、いつも気になっていることがある。食器類が貧相なのだ。たとえば、訪ねてきた客にジュースやミネラルウォーターを缶かボトルごと渡す。「上品な食器のシーンに出会った覚えは、いまのところまだない」と7年前に私は指摘していた。この指摘はいまでも通用している。

 「コーヒーカップとティーカップの区別がない。せっかく紅茶を出してもらっても、ティーバッグだ。ポットに茶葉を入れて出すことはない。アッサムやダージリンとは言わない。せめて祁門(キーマン)紅茶を出してほしい」。それも7年前の指摘である。この指摘も賞味期限を過ぎていない。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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