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若い人ほど知ってほしい、日本のお金が働かないワケ
【最終回】 2011年5月18日
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上阪 徹 [ライター]

若い世代ほど損をする
日本のお金のインチキな構造は
何も変わっていない

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1400兆円といわれる日本の個人金融資産の8割は50歳以上の世代が持っていると類推される。彼らの預貯金は国債という国の借金に変わり、公共事業につぎ込まれる。一方で、これから日本に生まれてくる子どもは、生まれた瞬間に900兆円の借金を背負うことになる。このままでは、日本は国際社会の中で、没落の一途を辿りかねない。

ダメな人にお金を貸し続けているのが、日本人

 日本の借金は、国と地方を合わせて約900兆円だとされている。そしてこの「国の借金問題」が語られるときによく出てくるのが、日本はお金持ちの国だ、日本には家計部門に1400兆円もの個人金融資産がある、だから、この程度の借金は問題がない、という話である。

 だが、900兆円の借金を、今すぐに1400兆円で帳消しにできるわけではない。国民が「はい、それでは預貯金をすべて今の国の借金に差し出します」などと言うだろうか。言わないだろう。強制的に行うとすれば、預金を封鎖するしかない。一方的に、預金をおろせなくしてしまう、ということである。

 現実的にはそんなことはありえないだろう。だが、実はそれにとどまらず、日本の借金と個人金融資産の間には、極めて危険な関係があると、松本さんが教えてくれた。

 「ちょっと前まで、日本の金融資産は1200兆円だったんです。それが1400兆円に増えた。では、何が増えたのかといえば、預貯金が増えたんです。では、この200兆円のプラス分はどうやって増えたのか。運用によって増えたわけですが、何の運用かといえば、預貯金の運用で増えたわけですね。では、その預貯金金利の大きな原資は何かといえば、国債です。実は個人金融資産が増えたときに、同時に日本には増えたものがあった。それが国債であり、日本の借金なんです。国債という借金が、日本の個人金融資産を増やした。つまり、日本の個人金融資産と日本の借金は、表裏一体の関係にある、ということです」

 自分たちの借金の金利によって、自分の懐をほんのちょっとだけ温めてもらう。そんな構図が今の姿なのだ。だが、それは、まさにタコ足配当ともいうべき状況、自分の足を食べているようなものではないか。

 「インチキなんですよ。国が膨大な借金をつくり、国民は預貯金がちょっと増えたと喜んでいるけれど、同時に自分たちの集合体の借金は増えているんです。資産が増えたようで、同時に借金も増えているんです」

 国は借金ができるからと、せっせと国債を発行する。それを金融機関が買っているということは、そこに国民の預貯金が入ってきているということになる。つまり、国民の預貯金が増えれば増えるほど、それだけ国の借金が増やせる。そして国が支払う国債金利は、預貯金の金利となって個人金融資産を増やす。そんな構図が出来上がってしまっているということだ。

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    上阪 徹 [ライター]

    1966年、兵庫県生まれ。89年早稲田大学商学部卒。アパレル メーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、95 年よりフリー。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、 雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がけている。インタビュー集に累計40万部を超えるベストセラーとなった『プロ論。』(B-ing編集部編/徳間書店)シリーズ、『外資系トップの仕事力』(ISSコンサルティング編/ダイヤモンド社)シリーズ、『我らクレイジー★エンジニア主義』(Tech総研編/講談社)、著書に『新しい成功のかたち 楽天物語』(講談社)、『600万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス』(角川SSC新書)、『「カタリバ」という授業』(英治出版)、『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『預けたお金が問題だった。』(ダイヤモンド社)、『文章は「書く前」に8割決まる』(サンマーク出版)などがある。


    若い人ほど知ってほしい、日本のお金が働かないワケ

     「貯金が趣味」もいいけれど、若い人は知っているのだろうか?

     1400兆円の個人金融資産の7割以上は、60歳以上の世代が持っているものと類推される。彼らの預貯金は国債の購入という形で国の借金に変わり、公共事業につぎ込まれる。その使われ方は周知のとおりだ。また、日本の将来に向けた新しい産業の創出に使われるわけではない。

     一方で、これから日本に生まれてくる子供は、生まれた瞬間に900兆円の借金を背負うことになる。それは、あまりに不公平ではないだろうか?日本のお金の流れはおかしい。そしてそのツケは、若い人が負わされている。

     マネックス松本大さんに話を聞きながら、日本のお金のいびつな構造をあきらかにし、将来に向けて警鐘を鳴らす。

    「若い人ほど知ってほしい、日本のお金が働かないワケ」

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