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実録 さぬき“町おこし”プロジェクト
【第4回】 2011年5月30日
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佐々木繁範 [リーダーシップ・コミュニケーション・コンサルタント]

初めての試作品を見て、あぜん。
あまりにも芸がなさすぎる……

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関係者一同が顔を合わせた初会合は、感情的な応酬にエスカレート、収拾のつかない状況で終わった。ともあれ、四国霊場八十八ヵ所巡拝の「上がり三ヵ寺」をテーマに、全国に通用する土産菓子を開発する、という目標に向かって、ひとまずプロジェクトは動き出した。

 徳島県にある一番札所の霊山寺から、香川県さぬき市にある八十八番札所の大窪寺まで、お遍路の全行程は1300キロ余り。1日30キロ歩いても、40日以上かかる。最近では車で廻る人が多いが、それでもすべて巡拝するのは容易なことではない。

 長い道のりを経て、お遍路さんの願いは大窪寺でようやく叶う。その結願(けちがん)の喜びをお菓子で表現しようというのが、今回のコンセプトである。

 このコンセプトに沿って、菓子事業者7人が試作品をつくることとなった。当初はそれぞれの得意技を活かして自由にやってもらおうと考えていたが、それでは何をつくっていいかわからない、との声が次々と挙がり、話し合いの末、三つの要件を決めた。

 第一の要件は、「まんじゅう」であること。餡を皮で包んでさえいれば何でもよい。餡は小豆でも生クリームでもよいし、中華饅頭のように肉と野菜が入っていてもかまわない。皮は小麦でも米粉でもよいし、しっとり系でもサクサク系でもよい。煎餅でなければOK、と言えるくらいゆるい定義だ。

 第二の要件は、丸い形であること。仏教に円相という言葉があり、円(まる)い形は縁起がよいとされている。まさに結願成就にふさわしい。球でも円盤でも楕円でも、角張ってなければよい。

 第三の要件は、和三盆糖を使うこと。さとうきびを原料とする、地元特産の上品な糖である。高価な原材料だが、使用する量は自由であり、甘さの加減を制約するものではない。

 いずれも自由な発想を妨げないよう配慮しており、創意工夫の余地は極めて大きいと思われた。

ついにやってきた試作品発表の日

 そして2ヵ月後。いよいよ試作品発表の時がやってきた。7つの菓子事業者が順番に発表し、20名のメンバーが実際に試食して評価する形式だ。

 トップバッターは地元で最も大きな和菓子屋である。新しい物を生み出せるとすればこの人じゃなかろうかと、私はひそかに期待を寄せていた。

 商品が配られる。ドキドキ胸が高鳴った。どうか地元らしい特徴がありますように…と祈るような気持ちで一口ほおばった。

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佐々木繁範 [リーダーシップ・コミュニケーション・コンサルタント]

リーダーシップ・コミュニケーション・コンサルタント。ロジック・アンド・エモーション代表。
1963年福岡県北九州市生まれ。1987年に同志社大学経済学部を卒業後、日本興業銀行に入行。1990年にソニー株式会社に入社。盛田昭夫会長の直属スタッフとして企業外交を補佐、その間にスピーチ・ライティングを学ぶ。1995年から97年までハーバード・ケネディ・スクールに留学、公共経営学修士号を取得。帰国後、2001年まで出井伸之社長の戦略スタッフ兼スピーチ・ライターを務める。ソニーでは計100本以上のスピーチ・サポートを手がけると ともに、IT戦略会議の議長補佐として、IT国家戦略の策定にも携わる。その後、数社にて経営改革に携わり、2009年に経営コンサルタントとして独立。リーダーシップとコミュニケーションを専門とし、経営者やリーダーの組織求心力と影響力の向上を実現するためのメッセージ発信を支援している。ホームページ:http://www.sasakinet.jp
著書に『思いが伝わる、心が動くスピーチの教科書』(ダイヤモンド社)がある。


実録 さぬき“町おこし”プロジェクト

これといった名産品もなく、過疎化の進むさぬき市で町おこしプロジェクトが始まった。カネも知恵も他人任せの依存体質から脱却し、全国に誇れる土産物の開発へ。町おこしに携わった経営コンサルタントが、紆余曲折、地方都市の自立の軌跡を赤裸々に紹介する。

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