経営×総務
社員の能力を100%引き出す 食事マネジメント
【第10回】 2017年4月11日
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笠井奈津子 [栄養士、食事カウンセラー]

社員の隠れメンタル不調を「食事」を手がかりに見つける方法

 メンタル不調を疑う人の食事の例として、朝食は欠食だったり、パンと飲み物だけ、もしくはゼリー飲料のような簡単なものであることが多いようです

 4月も3週目に入りました。新入社員も研修期間を終えて、いよいよ本格的に業務に携わり始める時期ですね。彼らを見て午前中は眠そうにしていたり、身だしなみに乱れがあったりすると、まだ学生気分が抜けないのかな、と思うこともあるでしょう。そんなとき、新入社員だからという理由で片付けてしまうと、隠れメンタル不調を見逃してしまうかもしれません。

 また、新入社員ではなくても、メールのレスポンスが遅い、頼んだことがなかなか進まない、というようなことが続くと、周囲の人は「やる気がないのか」「仕事ができないのか」などと思ってしまいがちです。新入社員や、転職したばかり、部署を異動したばかりの職場での関係がまだ浅い社員であれば、以前のコンディションを知らないので判断しにくいものですが、こうしたことはメンタル不調によっても引き起こされることを意識するのも大切です。もしかして、という視点があるだけでも見方が優しくなり、追い詰めて重症化させることの予防にもなります。

 特に、環境の変化は良くも悪くもストレスになりますから、複数の視点やコミュニケーション手段を持っておくとメンタル不調が重症化する前にサポートすることができます。

 また、見た目には変化がわからず、今までと同じクオリティの仕事をしているようでも、労働時間が極端に長くなっている人は要チェックです。メンタルに不調があると、睡眠の質が下がり、集中力が低下して、結果的に労働時間が長引いてしまうこともあるからです。

仕事を休みがちな人はメンタル不調を思わせますが、むしろ、休日出勤や残業もよくしている人の方が、ある日突然ポキっと折れてしまうこともあるので本当に注意が必要です。

 私は心療内科併設の研究所でメンタル不調を訴える方々の食事カウンセリングをしていたので、企業研修の際にメンタルヘルス対策の相談を受けることもあります。

 そうした時に総務・人事の担当者の希望として、まず「予防をしたい」に次いで、社員に自発的にケアしてほしいので「気付きを提供してほしい」ということがよく挙げられます。

 実際に研修の際には可能な限り社員の人の食事記録をいただくので「こういう食べ方・生活をしていると危険だな、と思う社員がいたら教えてください」と言われることがあります。もちろん、総務・人事としては「予防したいから」という意図だと思うのですが、その人のキャリアにもしも影響があったらと思うと、面談もしていないのに紙切れ一枚で「この人が心配です」とはとても言えません。あくまでも、食事記録によるアドバイスは本人に気づきを与えるきっかけであり、セルフケアをするための手段のひとつを知っていただく目的だとお考えいただければと思っています。

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笠井奈津子 [栄養士、食事カウンセラー]

東京都生まれ。聖心女子大学文学部哲学科を卒業後、栄養士免許取得。現在、栄養士、食事カウンセラー、フードアナリストとして活躍中。都内心療内科クリニック併設の研究所での食事カウンセリングやセミナーなどで、これまでに携わった8000通り以上の食事記録をもとに食事指導を行っている。また、“食卓に笑顔を”の願いのもと、『Smile table』を主宰し、ビジネスマン向けに企業内研修、カウンセリングをするほか、ワークショップなども実施している。最新の情報などはこちらへ。
著書には『甘い物は脳に悪い』『成功する人は生姜焼き定食が好きだ』がある。
文化放送「オトナカレッジ・健康学科」に隔週木曜日出演中。詳しくはこちらから→オトナカレッジHP
ポッドキャスト「オトナカレッジ・聴く図書館」でも聴けます。番組紹介動画はこちら

 


社員の能力を100%引き出す 食事マネジメント

かつて社員の病気や体調不良は、自己責任というイメージが強くありました。しかし今、社員の健康上の問題は、会社の経営・業績に大きな影響を及ぼしかねません。この連載では、職種などで異なる「特有な働き方の問題点」、それに伴う「食事の問題点」を紐解きながら、人事・総務部はどのように対処すれば改善すべきか、栄養士の目線から解説します。

「社員の能力を100%引き出す 食事マネジメント」

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