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飯田哲也の新・エネルギー原論
【第2回】 2011年6月9日
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飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

「脅し」でなく適切な「政策」で 
今夏の電力は充分足りる!

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夏場の電力不足と、計画停電の実施が懸念されている。震災直後、予定が何度も覆される“無計画停電”で巻き起こされた混乱はご免被りたい。しかし実際のところ、夏場の電力は充分足りるはずなのだ。必要な施策について、まだ国も十分な手を打てていないので、ここで提案しよう。

東電の供給能力は
震災直後より1500万kW増

 一足早く梅雨がやって来た。果たして、昨年のような猛暑になるのだろうか。夏場の電力供給不足が予想され、節電が喧伝されているため、みな「家庭やオフィスはどんなに暑くなることか」「また計画停電で電車が大混乱するのか」と今から戦々恐々である。

 しかし、結論から言えば、今夏の電力供給量は足りるはずだ。

 まず、東京電力の供給能力は日を追って増強されている。確かに、震災直後の3月下旬には、4650万kWという厳しい見通しだった。

 ところが、その後の火力・水力発電所の復旧などで供給能力は増強されつつある。5月下旬の見通しでは、揚水発電を含めると6000万kWを越え、実に当初予測より約1500万kWも上乗せされた。

第一回でも述べたが、日本のピーク時の電力需要量は10年前から下がり続けている。近年では、観測史上もっとも暑かった昨年の夏でさえ、6000万kW弱である。もともと大震災前に予測していた今夏の最大電力量である5700万kWと比較しても、現実の供給能力は十分にカバーしていることがわかる。

 では、電力需要のピーク使用量が急増する恐れはあるだろうか? 

 震災後に取り組まれたさまざまな節電対策の効果をみれば、ほとんど考えにくい。震災直後、東電が緊急の計画停電を発表したときの、節電の呼びかけと自粛による省エネ・節電効果は、なんと約500万kW前後にのぼったと推測される。

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飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

1959年、山口県生。京都大学原子核工学専攻修了。東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。大手鉄鋼メーカー、電力関連研究機関で原子力の研究開発に従事した後に退職。現在、非営利の研究機関の代表を務めつつ、複数の環境NGOを主宰し、科学者でもある。自然エネルギー政策では国内外で第一人者として知られ、政策提言と積極的な活動や発言により、日本政府および東京都など地方自治体のエネルギー政策に影響を与えるとともに、国際的にも豊富なネットワークを持つ。主著に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『グリーン・ニューディール―環境投資は世界経済を救えるか』(NHK出版)、『日本版グリーン革命で 経済・雇用を立て直す』(洋泉社新書)、『自然エネルギー市場』(築地書館)など。5月に『今こそ、エネルギーシフト 原発と自然エネルギーと私達の暮らし』(岩波ブックレット/共著)を刊行予定


飯田哲也の新・エネルギー原論

東京電力・福島第一原子力発電所の事故は、私たちに様々な問題を提起した。夏場の電力不足への対応という短期的課題だけでなく、原発存続の是非や、電力の供給体制のあり方といった中長期的な政策に及ぶ議論が一気に噴出している。エネルギー政策の第一人者として知られる飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長が、問題の本質をひもとき、合理的な解決策を探求する。

「飯田哲也の新・エネルギー原論」

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