「3年経ったから転職」は是か非か?転職希望者でよくいるのは「一通りやりました」「ワンクール経験しました」という人。それは業務の流れを一通り経験しただけにすぎず、経験業務が身体に刻まれていない人が大半のようです

人は経験したことしか
身につけられない

「今の会社に就職して3年経ったから、そろそろ転職しようかな」

 こういう話を「最近の若い人」から耳にすることがあります。人材関連サービス会社の広告コピーとして使われていたりもするので、一般に訴求する言葉なのかもしれません。しかし、単に「3年経ったから」という時間的な区切りだけで転職を考えるのがよいかといえば、非常に疑問です。

「石の上にも三年」とは言いますが、「つらいことも我慢して続ければ、やがては報われる日が来る」という意味であって、この「3年経ったから」とは使い方が違います。

 一つ言えるのは、人は経験したことしか身につかないのが原理原則で、頭の中だけで理解したことは身につかず、いずれ忘れていくだけです。ここで言う「経験したこと」とはどれだけ痛い目に遭い、もしくは大変な事態に対峙し、どのようにそれを乗り越えてきたかということです。

 私が起業して初めて1000万円の借金をした時は「大丈夫かな……」と本当にドキドキしましたが、今は1億円を借りてもドキドキしません。経験によって人は強くなっていくわけです。

 また、我々は日本各地の志を共にする人材紹介会社とネットワークを作り、Uターン・Iターンを中心とした転職を支援する「リージョナルキャリア」という会社(運営会社はリージョナルスタイル)を設立しています。ネットワーク内の人材紹介会社の社長からよく相談を受けますが、その相談内容はすべて私の経験の範疇の話ばかりです。「困ったな……」と思いながら自分で解決してきたことなので、的確なアドバイスができます。