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脳疲労が消える最高の休息法
【第5回】 2017年5月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
久賀谷 亮

頭を空っぽにしようとすると、「脳の疲労」には逆効果!?
マインドフルネスでいちばん大切なこと

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睡眠、美容、子育て、集中力、ダイエット、禁煙、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネス。これを日本で最も広めたベストセラー『最高の休息法』に「医師監修の特別音源CD」を付属した実践編が登場した。その名も『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』――。その一部をご紹介しよう。

「何もしない状態」を脳に覚えさせる

今回はマインドフルネスの最も基本的なかたちを紹介させていただきます。いきなり「この瞑想法を試してみましょう!」と言われてもなかなか実践する人は少ないかもしれませんが、前回まででご紹介してきた脳科学的なメカニズムや効用を踏まえれば、かなり見え方が違ってくるだろうと思います。

■参考
「何もしていないのにダルい…」には、こんな脳科学的メカニズムがあった
http://diamond.jp/articles/-/128202

疲れをコントロールし、「疲労感に悩まない人生」を手に入れるには?
http://diamond.jp/articles/-/127947

なぜ「磁気と○○」を使うと、脳疲労が解消するのか?
http://diamond.jp/articles/-/128203

今回ご紹介するのは、マインドフルネス呼吸法などと呼ばれる基本姿勢です。

呼吸法というと、ふつうは息のリズムや深さなどをコントロールして、何か特別な意識状態を引き起こす訓練をイメージしてしまいますが、マインドフルネスの場合は“正反対”です。

呼吸をコントロールする必要は一切ありませんし、深呼吸も不要です。呼吸が起こるがままに身を委ねて、あたかも他人の呼吸であるかのように観察するのが、マインドフルネス呼吸法の基本です。それ以外は本当にシンプルで、ほとんど何もすることがありません。
というよりは、「何もしない状態」を脳に覚えさせる練習だと言ってもいいでしょう。

また、瞑想というと、多くの人は「意識を無にしなければ!」と思うようですが、これも大きな勘違いです。そもそも人間の脳は、「何もするな、何も考えるな」と言われても、そんなことができるようにはなっていません。

マインドフルネスでやるのは「意識を空っぽにする」のとは真逆のことです。何も考えないようにするのではなく、自分自身の感覚や呼吸に並大抵ではない注意を向けるのです。

カベの穴から出てくるネズミを待ち構えるネコの気持ちを想像してみてください。『トムとジェリー』に出てきそうな構図です。

ネコはネズミを逃すまいとして、いまかいまかとカベの穴をじっと見つめています。これこそが「並大抵ではない注意」を向けている状態です。
身体の感覚や呼吸というこのあたり前の生理現象に、ふだんではちょっと考えられないくらいの好奇心や関心を持ってみましょう。「注意0%」の状況ではなく、「注意100%」の状況を目指すわけです。

瞑想をはじめたら、まずは自分の身体の感覚に意識を向けてみます。足の裏が床に触れている感覚はあるか? 手が太ももに触れている感覚は? お尻がイスに触れている感じは? 身体全体が地球に引っ張られる重力の感覚にも気づくかもしれません。

身体の感覚にひととおり注意を向けたら、次は呼吸を意識してみます。コツは「意識して呼吸する」のではなく、呼吸に関わる身体の感覚に注意の矛先を向けることです。鼻呼吸をしていれば、空気が鼻を出入りする感じに気づくはずです。息を吸ったときに胸やお腹が上下する感覚はどうでしょうか? 呼吸の音は聞こえますか? 何か匂いはしますか?

慣れてきたら、どんどん細かいところに注意を向けていきましょう。吸う息と吐く息とでは温度が違いますね。息を吸うときにはまず胸が先に膨らむけれど、吐くときにはお腹が先にへこむといったことにも気づきます。また、呼吸はどれも同じではありません。1回、1回の呼吸の深さにも違いがあるはずです。

はじめて気づいたかのように、そうしたこと全部に新鮮な好奇心を向けます。

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久賀谷 亮(くがや・あきら)

医師(日・米医師免許)/医学博士
イェール大学医学部精神神経科卒業。
アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、
イェール大学で先端脳科学研究に携わり、
臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。
そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。

2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。
同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、
最先端の治療を取り入れた診療を展開中。
臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。

脳科学や薬物療法の研究分野では、
2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、
「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。
主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン。


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