ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
出口治明の提言:日本の優先順位
【第12回】 2011年6月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

復興構想会議の提言は合格点。
新首相は、財源確保の道筋をつけること

1
nextpage

 東日本大震災からの復興策を検討していた復興構想会議(五百旗頭真議長)は、6月25日、4章から成る「復興への提言」を最終決定し、首相に答申した。菅首相の退陣表明により、当初考えられていた第一次提言ではなく最終提言となった模様である。その提言要旨は各紙に掲載されているので(例:日経2011.6.26朝刊。以下、引用は同紙による)、ぜひ丁寧に読んでみてほしい。私は一読した限りにおいてであるが、コンセプションとしては十分及第点が与えられる内容だと思った。

まず「逃げる」ことを考えよ

 提言の「第1章 新しい地域のかたち」では、冒頭で(防災ではなく)「減災」という考え方を強く打ち出している。平たく言えば、津波に対しては、まず「逃げる」ことを考えよということだと理解した。

 今回の大震災でも大地震の発生と大津波の発生との間には平均して30分前後のタイムラグがあったと報道されている。多額の資金を注ぎ込んで防波堤や防潮堤を再建したとしても想定外の津波にはとうてい対処しきれない。大自然の猛威に対する基本的な考え方として、従来の「防災」理念を「減災」理念に転換したことは高く評価されて良いと考える。

 また被災地域を5つの類型に分別し、地域モデルごとに復興施策を提示している点も分かりやすい。当然のことではあるが、復興の主体を「住民に一番近い市町村が基本」と明記したことも評価されて良いだろう。特区についてはやや物足りないが、その点は前回のコラムで詳述したのでここでは触れない。

財源を次の世代に負担させるな

 「第2章 くらしとしごとの再生」では、農林業の高付加価値化、低コスト化、農業経営の多角化や水産業の企業との連携、特区の活用等を提言している。いずれも国際競争力の強化を強く意識した提言だと受けとめられる。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

⇒バックナンバー一覧