お世話になった先輩や、出世ラインから外れたベテラン社員が自分の部下に……。そんな状況が当たり前になりつつある今、「やりづらい」「扱いにくい」と年上部下とのつきあい方に悩む管理職が急増している。年上部下を抱える上司の苦悩と職場の惨状とは?
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2歳上の先輩が降格され
自分が上司になってしまった

「昨年まで課長だった2歳上の先輩が課長補佐に降格され、自分が課長になってしまいました」というのは、システム会社に勤務する35歳の年下上司です。

「先輩は気にするなと言ってくれますが、客先で先輩が私のことを“オマエ”と呼んでしまうこともあり、あまりにたびたびだとイライラしてしまいます。部課長会議での情報を『オレとお前の仲なんだから教えろよ』などと言ってくるのも、正直うっとおしいです」

 また、「昔の上司が出世ラインから外れて私の部署に部下として異動してきました」というのは、メーカーの営業部長を務める40代の年下上司です。

 最初は協力的だったのに、次第に態度が変わり、仕事の進め方などについて指導しようとすると、「偉くなったもんだな」と嫌味な反応をされると言います。

「プロジェクトマネジメントなどについて、いろいろアドバイスしてくれるのはいいのですが、最近は“余計なお世話”と感じてしまいます。昔はよく飲みに連れて行ってもらい、仕事の心得を説いてもらっていただけに、どう対応していいかがわからず、つらいです」と、親しい間柄ゆえの悩みも深いものがあるようです。

 その他にも、「定年退職後、1年契約で事務の仕事を担当してもらっている年上部下に手を焼いています」という30代の年下上司はこう話してくれました。

「直接、仕事で関わる女性社員から私に訴えがあったのですが、社員が休暇申請すると『オレたちのときは有給を使うヤツなどいなかった』と昔話を始めていつまでも処理してくれなかったり、連絡事項を伝えようとしても『いいから、いいから!』と遮られて話にならなかったりするというんです。

  ミスをしても平然としていてひと言の謝罪もないといいます。それでいて、給料が少ないと文句を言っているのですが、若手社員よりはよっぽどもらっているので、みんな『あんな何もしない人より給料が安いなんて……』と士気が下がってしまっています」

 このように、定年までの数年間、あるいは定年後、若い人の下について仕事をすることに対して、モチベーションを高めることができず、マイナスのオーラを職場に振りまく年上部下に手を焼く上司は多いものです