終身雇用と年功序列の崩壊、グローバル化の波…。あまりに急激な変化が続く中、ビジネスパーソンはどのように個人の市場価値を高めればいいのか?前回に続き、累積100億円の赤字事業を2年間で黒字化した株式会社GyaO代表取締役社長・川邊健太郎氏に、これからの時代に成功するビジネスパーソンの秘訣と、この時代を読み解く術を聞く。

プロデューサーたるもの、遊ぶべし

かわべ・けんたろう
東京都渋谷区生まれ。1995年のインターネット黎明期より、起業家としてネットサービス事業に携わる。自らが設立した「PIM」において携帯インターネットの市場を開拓。2000年にヤフー株式会社と合併し、「ヤフー・モバイル」のプロデューサーに従事。2007年に「ヤフー・ニュース」のプロデューサーに。続いて2009年のヤフー株式会社によるGyaO買収を機に、株式会社GyaO代表取締役社長に就任。現在に至る。無料動画GyaO![ギャオ]

南 川邊社長は、どんなことを意識しながらこれまでご自身の市場価値を高めてきましたか?

川邊 「プロデューサーとしての力量を上げる」に尽きます。今後は、いろいろな分野や業種を横断しながら人々を束ね、新しいひとつの価値をつくるプロデュース力が重要になると思うからです。

南 プロデュース力を磨くために、社外でどのような活動をされていますか?

川邊 勉強会などは積極的に行っています。一見関係がなさそうなことが、実は非常に重要だったりするものです。広く見聞きしておかないとプロデューサーなんて務まりません。今世の中で何が起こっていて、どの世代のどんな人に、何が期待されているのか、さらにその先にあるものを模索するという視線の投げ方が大切です。

南 なるほど。情報についてはどうでしょう?ネットビジネスではまさに誰よりも早く情報を得てビジネスに展開していく瞬発力が大切だと思うのですが。川邊社長はどのようにして情報力を鍛えているのでしょう?

川邊 基本的な考えとして、情報は時差が生じるものです。つまり、誰かがすでに見聞きしてテレビや新聞などのメディアに出している情報では、すでに遅すぎます。メディアに出る前に、誰かが話している情報、さらにはその人が口に出す前に頭の中にある考えが最新情報なのです。その情報を取れていないとプロデューサーとして失格です。ではどうするか?簡単です。ちゃんと遊ぶことです。

 よく部下に話すことなのですが、以前ヤフーの面接に来た人にこんなことを聞かれたのです。