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辺境から世界を変える【取材紀行編】
【第4回】 2011年7月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
加藤徹生 [社団法人wia代表理事]

急成長する中国で見た社会企業の姿
――「世界最大の市場」で進み行く巨大な変化を追う

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   タイでの取材を終えた僕は、ラオス経由で、中国西南部の中核都市、成都に向かった。「兎王」と呼ばれる中国の社会企業を訪れるためだ。一党独裁を続ける中国という国において、社会的な課題とはいったい何なのか。「中国の社会起業家」がどのような活動を手がけていているのか。待ちきれない思いで、タイを離れた。
  そんな僕を待っていたのは、まさに世界を変えゆく起業家たちだった。今までの僕が、いかに小さな目標にとらわれ、目の前の些細な出来事に拘泥していたのか、思い知らされた。この出会いは、僕に変化をもたらす――そんな予感に打ち震えたのだ。

中国の実態
「世界最大の市場」の躍動

 ラオスの国境を越えると、「大都会」が広がる。ラオス北部の印象が、「木々と山岳」だとすれば、中国の国境を越えて見る世界は、すべて「大都会」だ。道路は舗装され、電気は辺境まで届き、整然としたルールがある。あらゆる国において、国境線というものはその国の力を可視化する。そういう意味で、ラオス・中国国境は印象的だった。南を見れば「森」、北を見れば「都市」だった。

 今回、あえて、ラオスを経由したのは、上海・北京といった「沿岸部」ではなく、世界最大の人口を誇る国の実態を自分の目で見たかったからだ。知り合いの旅人からは、「愛想が悪い」、「汚い」、「途中で料金を割増された」など、悪口ばかり聞いていた。

 途中のバス停で休憩を取り、街の人々と適当な中国語で言葉を交わす。「これ欲しい」とか「ここ行きたい」とかしか表現できないのだけれど、生きていくだけのコミュニュケーションには十分だ。適当に食堂に入り、肉まんとよくわからない点心を指さして頼む。ラオスの国境を越えて中国に渡る、なんていうルートを取る日本人は少ないらしく、珍しがられた。みな人懐っこく、飯を食っていると声をかけてくる。「なんだ、中国って、いい国じゃないか」と心の中でつぶやいた。

経由地で立ち寄った食堂。愛想の良い店主と料理人が迎えてくれた。

 中国の発展具合は、凄まじかった。北京や上海だけが、発展しているわけではないのだ。鉄道は大陸の中核都市をむすび、縦横無尽に走る。同程度の経済発展を遂げた国と比べ、中国の状況は圧倒的に「良かった」。この広大な土地にくまなく基幹インフラを張り巡らそうとしている中国という国の行政の力を、僕は体で感じた。

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加藤徹生 [社団法人wia代表理事]

社団法人wia代表理事/経営コンサルタント。
大学卒業と同時に経営コンサルタントとして独立。以来、社会起業家の育成や支援を中心に活動する。 2009年、国内だけの活動に限界を感じ、アジア各国を旅し始める。その旅の途中、カンボジアの草の根NGO、SWDCと出会い、代表チャンタ・ヌグワンの「あきらめの悪さ」に圧倒され、事業の支援を買って出る。この経験を通して、最も厳しい環境に置かれた「問題の当事者」こそが世界を変えるようなイノベーションを生み出す原動力となっているのではないか、という着想を得、『辺境から世界を変える』を上梓。
2011年6月末より、東北の復興支援に参画。社会起業家のためのクラウドファンディングを事業とする社団法人wiaを、『辺境から世界を変える』監修者の井上氏らとともに9月に立ち上げた。
twitter : @tetsuo_kato


辺境から世界を変える【取材紀行編】

アジア各国の社会起業家、そして現地の起業家を取材し、辺境に眠る力強い可能性を描き出した『辺境から世界を変える』。
本連載では、アジアの最果てを巡る取材の中で、ターニングポイントとなった出会いや出来事を、書籍未収録のエピソードを中心に書き綴る。ラオス、カンボジア、タイ、中国、フィリピン、インド……。2年にわたる取材で、筆者、加藤氏は何を見たのか。
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「辺境から世界を変える【取材紀行編】」

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