お金に余裕のある富裕層を中心に中国の消費者のあいだで、スマートフォンが急速に普及する兆しを見せている。
高速鉄道や空港の待合室、あるいは地下鉄などでスマートフォンユーザーに出くわす場面が多くなった。iPadやAndroid搭載のタブレットPCユーザーもよく見かける。逆に目立たなくなったのが、ノートPCユーザーである。
もともと中国でスマートフォンユーザーと言えば、iPhoneなるカッコイイ高価な端末を見せびらかすことで自分のステータスをアピールしたい若い金持ちというイメージが強かった。筆者の周りを見渡しても、正直、iPhoneアプリをインストールすることなどどうでもよかった人たちが多かったように思える。ただ所有していればそれでよかったのだ。そこら辺あたりの事情は、筆者の2年前のコラムに詳しい(「正式には未発売のiPhoneが100万台普及する中国のケータイ事情」)。
今ではその2年前の使われ方が嘘であるかのように、ユーザーはiPhoneアプリに興じている。その中心にあるのが、ゲームである。世界的にヒットしたお手軽ゲーム「Angry birds」や「Plants vs. Zombies」、あるいは中国地場の人気トランプゲームをはじめとした無料ゲームが特に人気を集めている。最初こそ面子のためのiPhoneだったが、現在はその面子も満たせてゲームでも遊べる製品という認識に代わったのである。iPhoneユーザーをよく見るようになったことに反比例して、筆者の周りでは、ソニーのPSP(プレイステーション・ポータブル 実は中国未発売)やニンテンドーDSのユーザーに出くわす機会がずいぶん減ったような印象を受ける。
さて、中国のスマートフォン市場では、現在のところは、iPhoneとiPadが、Android搭載製品を圧倒している。しかし、Android搭載スマートフォンやスレートPCユーザーも着実に増えている。Android搭載スマートフォンユーザーを見かければ、彼らもやはりそれを使ってゲームでばかり遊んでいるのである。時系列でみれば、「iPhoneが普及した」→「新しモノ好きの消費者がAndroidに飛びつく」→「iPhoneと同じようにAndroidでもゲームで遊べることを知り、口コミで広がる」といった流れである。