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ワークス研究所の労働市場最前線

「ゆとり世代」=学力不足は思い込み
その強みと特長の活かし方

辰巳哲子 [リクルートワークス研究所 主任研究員]
【第15回】 2011年8月11日
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 「俺、ぎりぎり、ゆとり世代じゃないんですよ、セーフです。」

 新入社員に、彼らが受けてきた教育についての話を聞こうとしたら、こんな返事が返ってきた。彼が「セーフ」と言ったように、「ゆとり世代」という言葉は、学習内容が少なく、学力が低いといったネガティブな使われ方をすることが多い。しかも否定の対象は学力だけにとどまらず、「好きなことしかやらない」「受け身」「主体性がない」というように、人格までをも否定するような単語として語られることすらある。

 しかし、冒頭の新入社員の返答は大きな誤解を含んでいる。そもそも学校教育に「ゆとり」の傾向が見られるようになったのは、1980年代のことである。「ゆとり」はいきなりはじまったわけではなく、教育のゆとり路線は段階的に強化されつつあった。80年代の移行期間を含めると、実は現在20代後半の人たちも、「ゆとり路線」のもとで教育を受けた経験を持つ。それが本格化したのが2003年の学習指導要領の改訂なのだ。

 本稿では、「ゆとり」という新たな教育観のもとで学校教育を受けてきた若手の実態を把握した上で、彼らの強みが活かせる活躍の場をどのように作るのかという点を論じていきたい。

20代の基礎力は
他の世代よりも高い

 まず、若者たちに能力面における低下傾向が確認されるのか、ゆとり路線のもとで教育を受けた20代とそれ以降の世代との比較をしてみよう。最初に彼らが保有している「対人基礎力」「対自己基礎力」「対課題基礎力」などで構成される「基礎力」を確認する。

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辰巳哲子 [リクルートワークス研究所 主任研究員]

(たつみ さとこ)1992年株式会社リクルート入社。企業における組織人事コンサルティングに携わった後、社会人向けのキャリア支援サービスの開発を行う。高校生・高卒後未就業者のキャリアカウンセリングに携わり、2003年4月より現職。中央教育審議会 キャリア教育・職業教育作業部会 委員(2009~)、国立教育政策研究所 キャリア発達にかかわる諸能力の育成に関する調査研究協力者会議 委員(2010~)、秋田県高等学校キャリア教育調査研究 委員(2008~2010) など


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超就職氷河期、非正規社員の比率の高まり、社内教育制度の限界など日本の労働市場は、大きな転換期にある。労働市場の研究所として名高いリクルート社のワークス研究所の研究員が、就職、転職、キャリアパス、制度問題など、労働市場を360度の視点から縦横に分析する。

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