ユウキと一緒に
出来事マップを作る

 まず私は、ユウキに事実関係を聞いていきました。

 私「警察でも、学校でも、家でも、だいぶ叱られたでしょ?僕は、あーしろ、こーしろと言うつもりはないし、あれは悪いとか、これはダメと言うつもりもないから、起こったことを一緒に考えてみようね。お題は、『なぜ、私服警察官に補導されたのか?』。じゃあ、補習が終わって、繁華街に行ったところから始めようか。だから、スタートは『学生が繁華街に行く』ね。学生が繁華街に行くと、その結果、どんなことが起こるのかな?」

 ユウキ「悪い人に出会う」

 私「なるほど。繁華街には悪い人がいるって教わってきたんだね。ところで、繁華街に10回行ったとしようか。そうしたら、悪い人にも10回会うことになるかな?」

 ユウキ「うーんと、いつもは会わないかもしれない」

 私「そうだよね。ということは、いつもとは限らないけど、悪い人に出会う可能性もあるってことだね。学生が悪い人に出会うと、その結果、どんなことが起こるかな?」

 ユウキ「悪い人に騙される?」

 私「そうかもしれないね。学生が悪い人に出会うと、そんな学生の中には騙されてしまう人が出てくるかもしれないね。ところで、それはどうしてだと思う?繁華街には大人もたくさんいると思うけど、学生だと騙されやすくて、大人だと騙されにくいのかな?」

 ユウキ「それは、学生が世間を知らないからだと思う」

 私「そうか。たとえば、世間を知らない中学生のユウキたち5人組とか?」

 ユウキ「そうそう(笑)」

 私「悪い人に騙される学生が出てくると、その結果、どんなことが起こるかな?」

 ユウキ「誘拐されるとか、危険な目にあうとか?」

 私「そうだね。結果として、誘拐されたり、危険な目にあったりする確率が高くなるよね。それはどうしてだと思う?」

 ユウキ「うーん、よくわかんない」

 私「オッケー。じゃあ、こう考えてみようか。家から駅に行って、電車に乗って、学校に行って帰ってくるまでに、たくさんの人に会うよね?その中に警察官はどれくらいいる?」

 ユウキ「1人とか、2人とか?」

 私「きっと、そんなもんだよね。警察官がそんなにたくさんはいないってことは確かだね。でも、警察官の仕事は町の安全を守ることだから、警察官も、自分がどこにいれば一番町を安全にできるかは考えているはずだよね?つまり、危険がありそうな場所には、警察官はいっぱいいるんだよ。

 ところで、悪いことをしようとしている人は、警察官が目の前にいたらどうするかな?さすがに目の前で悪いことはしないよね。いなくなるまで待つと思うんだ。一方で、警察は、悪いことをする瞬間を捕まえたい。だから制服でパトロールをして、悪い人に警戒されると都合が悪い。それで、中には私服を着ている警察官もいる。そんな私服警察官にユウキは補導されたんだよね?」

 ユウキ「うん。そう」

 私「ということは、本当に危険な場所にいたってことだね。すべての学生を守ってあげられるほど警察官の数は多くないから、警察に補導されたとしたら、たまたまじゃない。本当に危険な場所だから、警察官も私服を着てわざわざそこに来てたってことだよ。

 じゃあ、話の続きをしようか。学生が誘拐されたり、危険な目にあったりする確率が高くなると、その結果、どんなことが起こるかな?」

 ユウキ「一部の学生は、本当に騙される」

 私「それで、本当に騙されると、どんなことが起こるかな?」

 ユウキ「友だちとか、親とか、自分の周りにいる人が悲しむ」

 私「他には?」

 ユウキ「騙された自分が悲しい思いをする」

 私「もしさ、友だちとか親とか、自分の周りにいる人が悲しむし、騙された自分が悲しい思いをするとしたら、その結果、どうなると思う?」

 ユウキ「悪い人がいる場所には行かないほうがいいことになる」

 私「どうして?」

 ユウキ「それはー、誰も悲しい思いをしたくないし、させたくもないから」

 こうやってできたのが、図表1の出来事マップです。