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「引きこもり」するオトナたち

金融再編で不機嫌になる職場、野放図なバブル世代に
疲弊した就職氷河期世代たち

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第79回】

 前々回前回に続き、今回も増加する就職氷河期世代の引きこもりについてご紹介したい。

97年に続々起きた大手銀行、証券会社の破綻
それでもバブル世代は…

 当時、大手銀行員だった中村昭典さん(仮名=40歳)は、突然、消費者金融との合弁会社に異動になり、カルチャーショックを受けた。中村さんはその後、会社を退職。いまは仕事に就かず、引きこもりのような生活を送っている。

 銀行内の風向きが明らかに変わったなと思うのは、1997年11月頃のことだ。三洋証券の破たんに始まり、それは北海道拓殖銀行、山一證券へと飛び火して、金融業界で働く人たちの間に大きな衝撃が走った。

 その頃、「次に危ないのは、○○信託銀行」などという噂が、まことしやかに流れた。勉強会で、金融論の専門家までが「永代通りに並んでいる会社が危ないんじゃないか」などと口にしていた。

 その銀行では、預金を解約するのに3時間待たされるほどの列ができた。

 「二重に保護されているのは理屈でわかっているけど、感情論で言ったら、解約したくなるんだよ」

 というのが、当時の空気だったという。

 そもそも、中村さんは、就職活動を始めたときから、「これから金融再編が起こる。どこが生き残るのかな」ということをすでに気にしていた。

 ところが、銀行に入行して、1つ世代が上のバブル入社組を見渡してみると、何でこんな人を採用したんだろうと思えるような人たちが、ゴロゴロしている。

お客にウソをつき、電話線を切る人も…
そんなバブル世代も守られる終身雇用の弊害

 あるとき、銀行の目玉商品である高金利の貸付信託商品をお客に売るとき、そんなバブル世代の1人が窓口へ行き、商品を希望するお客に向かって「もう売り切れました」と対応。そのお客とトラブルになった。

 貸付信託商品は、1回の発行額が決まっている金融債と違って、1回の発行限度額がなく、売り切れがない。

 「俺は、勉強したくないから、この会社に入ったんだ」

 こう堂々と公言しているバブル世代の先輩もいた。

 96年頃、中村さんは、人事担当者から、こんなボヤキを聞いた。

 「この頃、甘えている若手が多い。バブルの先輩たちはともかくとして、おまえらの世代から、採用がだいぶ減っている。自覚を持って、会社の中核になれるように、頑張ってくれ!」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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