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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

日本の組閣の限界
オバマと李明博の人材登用に学べ

田村耕太郎
【第30回】 2011年9月21日
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 野田新内閣が発足して8日目で鉢呂吉雄氏が経産大臣を辞任した。野田首相の組閣は玄人好みのバランス人事と言われる。自民党の手法に近いと思う。2年前の政権交代で初めて権力を持った民主党はこの2年間の混乱を経てようやく政権運営の難しさを学び始めたのだと思う。つまり、行政と議会が一部融合している議院内閣制の下では、単純な適材適所の人事はやりにくいということをだ。

 今回は、大統領の閣僚人事が、議院内閣制の我が国に比べ、“適材適所になっているか”紹介したい。それは、行政と議会がはっきりと区別される、厳格な三権分立である大統領の方が、議会と政府が融合する議院内閣制より、党に配慮しなくていいからだと思う。

 日本の組閣は難しいのだ。極論をすれば、組閣は適材適所の政権運営をするためのものではなく、党の結束を強めるためのガス抜きである。厳密に言えば、党人事も含めてバランスを取るのだが。野田首相も適材適所と言うが、それは広い意味で、党を安定させるための適材適所ということだと思う。

 日本国憲法第68条、「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない」議院内閣制の下では、国会議員から大臣を選ぶのが前提だ。総裁選での貢献や党の勢力図を考慮した人事をしない限り、党の協力が得られにくく、安定した政権運営はできない。これは自民党でもそうであった。

 大統領制を採用する国はどうであろうか?今回は隣国であるアメリカと韓国の事例をみてみる。まずアメリカ。アメリカの内閣制度は、日本と大きく異なる。アメリカ連邦憲法には内閣に関する規定は存在しないし、日本の内閣法に相当する法令も存在しない。 

 アメリカ連邦憲法第2条第1節第1項は、「行政権はアメリカ大統領に属する」としており、「行政権は、内閣に属する」(日本国憲法第65条)とする日本とは違う。内閣の連帯責任(日本国憲法第66条第3項)や、事務の分担管理(内閣法第3条第1項、国家行政組織法第5条第1項)といった考えもない。

 歴代大統領の“内閣”なるものへのとらえ方もまちまちだ。クリントン大統領は、閣議を重視せず、全閣僚が集まる閣議はほとんど開催されなかったという。一方、アイゼンハワー大統領は閣議を重視。担当者(cabinet secretary)を置き、議事録もとられた。その在任中の年平均開催回数は、34回であった。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

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