佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【第7回】 2011年9月28日 橋本裕之

鯛めし――旨みが凝縮された2種類の鯛めしで、瀬戸内海を味わう!

 愛媛といえば、身の締まった、新鮮な鯛を使った『鯛めし』だろう。

 愛媛県今治市の沖に位置する来島海峡は、鳴門海峡・関門海峡とならび、日本三大急潮にもあげられるほど、潮の流れが急な場所で、水温の寒暖の差が激しい。そういった厳しい環境で育ち、身の締まった鯛に成長すると言われている。

 そんな理由もあり、ここで獲れる鯛は、明石の鯛と並びブランドになっている。藩政時代には、将軍家に献上するために、鯛奉行が設置されたほどだ。

 愛媛を中心とした瀬戸内海の沿岸地域には「鯛麺」や「鯛そうめん」といった鯛を使った料理が数多くあり、お祝い事の時などを中心に古くから食されている。

 そんな鯛を使った鯛めしだが、愛媛県には2種類の鯛めしがあると言う。

来島海峡の急潮で育まれた鯛を使った
「鯛めし」と「宇和島鯛めし」

土鍋で炊き込んだ通常の「鯛めし」(写真左)と、愛媛名物の「宇和島鯛めし」

 鯛めしというとどのようなイメージを描くだろうか。筆者は、土鍋でご飯と一緒におかしら付きの鯛を炊き込む、豪快なイメージを思い浮かべる。一般的に東京で鯛めしといったらこちらのバージョンではないだろうか。

 愛媛では、こうした炊き込む形の鯛めし以外にも、もうひとつ、違ったタイプの鯛めしが味わえる。これは鯛とご飯を一緒に炊くのではなく、鯛の刺身を、タレと生卵で和えて、温かいご飯の上に乗せ薬味と一緒に味わうというものだ。

 この料理は「宇和島鯛めし」として農林水産省の「郷土料理百選」にも選ばれている。愛媛県でも、最も南西側に位置する南予地方の宇和島のあたりで、よく食べられていたという。

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橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

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