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「引きこもり」するオトナたち

震災を機に「悪化した人」、「社会復帰できた人」
引きこもりの命運を分けた家族の言葉と行動

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第83回】

 人や社会とつながりをもてずに生活していた引きこもり状態の人たちは、東日本大震災からどのような影響を受けたのだろうか。

涙が止まらない、予期不安を訴える…
震災によりうつや統合失調症が悪化

 東北大学大学院教育学研究科の若島孔文准教授は、「東日本大震災PTG心理・社会支援対策室」の家族臨床心理グループのメンバーとして、被災地で支援活動を行ってきた。

 3月25日から、石巻市などの避難所での心理支援や、被災地の役所職員との面談などを実施。その後、避難所や仮設住宅に「簡易こころの相談室」を開設している。一方、3月27日に「東日本大震災心理支援センター現地対策室」を設置して、様々な組織や団体のこころのケアチームに参加してきた。

 こうして被災地の中で間近に被災者と接してきた若島氏によると、まず、うつや統合失調症を持っていた人たちは、震災の影響を受けて、不安が高まっているという。

 「電話相談でも、対面で会えるくらいの引きこもりの人のケースでも、うつや妄想などの症状があって引きこもっている人たちは、余計に症状が悪化している感じがします。涙を流したり、また起こるのではないかという予期不安を訴えたり。元々、うつなどの既往歴のある人は、悪い方向に向かったのだと思います」

 実際、私の周囲でも、震災直後、被災地の映像を見て「涙が止まらない」とか、落ち込んでしまって動けなくなる人たちがいた。

 「結局、災害時のストレス反応が、そういう既往歴のある人たちにはより強く、長く見られる感じがあります」(若島氏)

キーワードは「他人のため」
震災をチャンスに変えた引きこもりも

 一方で、震災が起きたことは、変化を起こすきっかけにもなっているという。つまり、「震災をチャンスに変えて上手く利用できた」ケースでは、ある変化が起きているのだ。

 東北大学が取り組んでいるのは、ブリーフセラピー(短期療法)。どうすれば早く変化を起こせるかだけを考えて、実験や臨床を行っている。若島氏は、こう説明する。

 「引きこもりに関して言えば、わかったことがあります。彼らは、自分のために出ることは難しい。『自分の将来の自立や身体のことを考えて、外に出なさい』といくら言っても、人は動きません」

 ところが、「他人のために」なると、話は変わってくる。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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