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今週のキーワード 真壁昭夫

欧州ソブリン危機が招く「中国ショック」の現実度
新興国へのマネーの流れが“大変調”をきたすとき

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第196回】 2011年10月11日
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ソブリンリスクはついに中国へ!
アジアの新興国株式が軒並み暴落

 ギリシャ危機に端を発したユーロ圏のソブリンリスクが、中国などの主要新興国にも波及している。新興国、特にアジアの新興国の株式市場は軒並み大きく下落しており、景気も減速傾向が鮮明化している。

 ソブリンリスクの高まりが、新興国の経済に影響を与える主な経路は2つある。

 1つは、ユーロ圏のリスクの高まりによって、多くの投資家がリスクを軽減する、いわゆる“リスクオフ”に走っているため、金から新興国の株式まで、それこそ「売れるものは何でも売っている」ことだ。

 そのため、株価が不安定な展開になっている。株価が下落すると、実体経済にマイナスの影響が出ることは避けられない。

 もう1つは、先進国の景気低迷によって、中国をはじめとする主要新興国の輸出が伸び悩み傾向になっていることだ。新興国の経済は、今まで最終需要地である欧米諸国への輸出を原動力として高成長を達成してきた。

 経済が高成長したことで、庶民の所得が増加して消費が増え、それが好循環へと繋がったのである。好循環の大元である輸出に陰りが出ると、当然、成長率が低下する。中国の2ケタ成長は、今後8%台の半ばまで低下すると見られる。

 一方、もう少し長い目で見ると、新興国の経済成長率は低下するものの、先進国のように大きく落ち込むことは考えにくい。その理由を一言で表現すると、「新興国の経済はまだ若いからだ」。

 新興国の多くは豊富で安価な労働力を抱えており、しかもこれから本格的な工業化のプロセスを歩むことになる。少子高齢化が進み、安定成長期に入っている欧米諸国とは、基本的なファクターに顕著な違いがある。

 そうしたダイナミズムを考えると、主要新興国の経済は一時的に減速しても、世界経済がある程度の落ち着きを見せれば、復活の道を歩むことができると見る。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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