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九州大学の研究者が発見・報告した「線虫が患者の尿からがんを嗅ぎ分ける」という研究は、多くのマスメディアによって紹介されたので、聞いたことがある人も多いだろう。それが最近、さも九大のお墨付きを得たかのように「線虫がん検査」が販売されており、開発者の広津崇亮氏は「まだ実用段階ではなく、注意してほしい」と警告する。がんなどの難病患者の足元を見るようなインチキ・ニセモノ医療は、相変わらず横行している。それらを見抜く方法について、広津氏に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

「研究協力」の名目で
実用化前の検査が受けられる?

「おススメのがん検査があるんですよ」

 8月の末、寺の住職であるAさんのもとにやってきた配置薬業者は、紙袋からいそいそとパンフレットを取り出すと話し始めた。

「九州大学の偉い先生が、日立製作所と共同で開発した検査なんですよ。線虫ってね、小さな虫を使うんですけど。この線虫には、がんの臭いを嗅ぎ分ける能力があるそうなんです。しかもたった一滴の尿さえあれば、95%以上の確率でわかる。すごいでしょ。2020年に実用化される予定なんですけどね、これと同じ理論の検査が、今なら一回3000円で受けられるんです。このパンフレットを見てください」

 言われるまま手に取り、読んでみた。

 そこには「線虫はがん患者の尿に寄るという習性を利用し、尿を採取するだけで、がんの発症を簡単に予測できる」というようなことが書いてあった。ただし、「まだ研究段階のため、検査や診断のカテゴリーではありませんが検体を蓄積することにより、将来的に身体に負担がなく、早期発見が可能で、より信頼性のあるものをめざして研究しています」とも。会員制で、1回あたり3000円程度の費用がかかるという。