「時間だぞー」「早く帰れよー」…勤務時間の終わりが近づくと、オフィスのあちこちで聞こえてくる上司の声だ。しかし、この掛け声、百害あって一利なしの、かけてはならない禁句なのだ。(モチベーションファクター株式会社代表取締役 山口 博)
「早く帰れよー」と言われると
部下たちは不快感を覚える!?
勤務時間の終わりに上司からかけられる、「時間だぞー」「早く帰れよー」という決まり文句の掛け声。こうした掛け声は、従来から、主として残業管理の目的でかけられていたように思う。
今日では、働き方改革の実行プランの主要項目になっている一斉退社を促すため、このような掛け声がかけられる。働き方改革の気運が高まるにつれて、この掛け声の頻度も高まっている。中には、上司の役割の1つとして「必ず掛け声をかけてください」と、人事部から奨励されている会社も少なくない。
働き方改革実現プランの策定演習や、生産性向上のためのスキル演習で、私は、働き方改革を実現し始めて職場でどんな変化があったかを、よくお聞きする。冒頭の掛け声がかけられるようになったというのは、よく挙がる例だ。
しかし、この掛け声、働き方改革を踏まえた生産性向上のためには、役立たないどころか、逆効果なのである。「掛け声をかけられてどう思うか」と聞いてみると、次の通り辛辣な答えが帰ってくる。上に掲載したコメントほど不快指数は高い。
・強制的に帰らされるようで、自分の目標達成ができなくなるので、不快だ。
・帰るか帰らないか、自分で決められなくて不満だ。
・問答無用で帰れと言われているようで、自分が用なしだと言われているよう気がする。
・他者と協力すれば、もう少しでやり遂げられると思うのに、そうした斟酌がされていない。
・今日はいいけど、仕事が後ろ倒しになるから結局は自分が苦しむのではないか。
・遠慮なく帰れるようになったが、これまでの習慣のバランスが崩れてしまいそうだ。