皆さん、こんにちは。自分で言うのもなんやけど、「採用の神さま」小畑重和です。

 えー、今回はお待ちかね?の中国人学生の就職活動事情をご紹介していきたいと思ったのですが、その前に…。

 その前にばっかりですけど、今回は今の中国人大学生について考察しておきましょう。彼らがどんな人物かを理解するために、生まれた時代、取り巻く環境など、バックグラウンドをじっくり整理したいと思います。

「一人っ子政策」と「211工程」により
大学生は約7倍の700万人に激増!

 まずは「一人っ子政策」から。

 中国政府は人口の増加を抑制するために、1979年に「計画生育政策(一人っ子政策)」を施行しました。現在の大学生は、基本的には一人っ子(のよう)です(学生に聞くと、「罰金を払えばいい」とか、南の広東省は緩いとか、最近は一人っ子同士の夫婦なら2人までOKとか、いろんなパターンがあるようですが…)。

 両親とその双方の祖父母、計6人からの愛情を一身に受け、甘やかされて育てられるので「小皇帝」「小公主」などと揶揄される話はよく聞きますよね。

 そのためでしょうか。両親・祖父母との心情的結びつきが極めて強く、進学や就職に対する親の助言や干渉、そしてその影響力は日本以上です。また、子どもが親を思う気持ちも、日本より断然強く「就職した街に親を呼んで一緒に住みたい」とか、「働いて稼いだら親に家を買ってあげたい」など、日本では最近、とんと聞かれない話が学生の口から出てくることもあります。

 そして、もう1つ重要なのが「国策による学生数の増加」です。

 これは第1回でも書きましたが、1990年代に策定された「211工程」(全国から選んだ98の大学を重点大学と定め、21世紀に大きく発展させるため、優先的に経済的援助を行う)によって、大学生数が激増しています。2009年度の卒業者数は2000年度の約7倍に当たる700万人弱とか800万人とか。この大学生の著しい増加が就職難を引き起こして、蟻族を生んだりしているんですよね。