社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「やりたいことがない」のは「欠点」じゃなかった――人生が一変する新しい考え方Photo: Adobe Stock

「強み」という概念を知り、人生が好転

前回、「やりたいこと」を探して、7回も転職し40代半ばまでずっと迷走していた私の人生について書きました。
やりたいことを探さなければと焦って転職を繰り返していたときは、何事も中途半端な自分に自信がなく、自己肯定感も低い状態でした。

ところが、「強み」という概念に出会い、人にはそれぞれ異なった強みやタイプがあると知り、やりたいこと探しをやめてからは、自分のことが好きになりました。そして、これまでの人生を振り返ってとても意味ある人生だったと肯定できるようにもなりました。

私にとって大切なのは、やりたいことや目標を無理に探すことではなく、自分のタイプ、強みに合った方法で自分の人生を充実させることだったのです。

さらに、ストレングスコーチとして独立し、クライアントと向き合う中で、私と同じように、「やりたいこと」を無理して探さないほうがいいタイプなのに「やりたいこと」探しにとらわれている人がたくさんいることに気づきました。

「やりたいことがないから人生の一歩を踏み出せない」と思い込んでいる方。
「やりたいことが見つからない自分は価値のない人間だ」と考えている方。
やりたいことを「やる」ことではなく、やりたいことを「見つける」ことが目的となっている方。
やりたいことが見つからない焦りから、日々の小さな幸せを味わえなくなっている方……。

「やりたいこと」探しの呪縛にとらわれないで

さらにあるとき、SNSに「コーチングでよくきかれる『10年後どうなっていたいですか?』という問いかけに違和感がある」という内容を投稿したところ、驚くほど多くの共感の声が集まりました。

「私だけじゃなかった」「答えられないことにいつも罪悪感を感じていた」「目標を持てないことにコンプレックスがあった」という反応が次々と寄せられたのです。

このような反響を見て、やりたいこと探しの呪縛にとらわれている人は多く、そもそもやりたいことがなくていいタイプの人たちに向けた本や情報が少ないことに気づきました。
それならば、私自身の経験と、クライアントとのセッションから得た知見を基に、やりたいことがなくても充実した人生を送る方法を伝えたい。

そう思って、本書を執筆いたしました。
自分の強み」と「自分の道」を理解し、それに沿って歩んでいくことで、やりたいことに縛られない、より自由で充実した人生を送る助けになれば幸いです。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。