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日本発の基礎研究が結実
肺がん治療に奇跡は起こるか
ALK阻害剤─分子標的薬

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第66回】

 いまや、がん治療の主役に躍り出た分子標的薬。力を発揮するには「標的」の絞り込みが鍵を握る。がん特有の遺伝子変異が生み出す分子であること、その働きを封じることでがん細胞に致命的なダメージを与え、正常細胞には影響が少ないことが条件だ。最も成功した例は一部の血液がんに特有の遺伝子変異によるBcr‐Ablタンパクで、これを標的とするイマチニブは慢性骨髄性白血病の治療成績を一変させた。

 一方、より複雑に発症因子が絡む固形がん(一般的な臓器がんなど)では、それ一つですべてを決定づける遺伝子変異と標的があるとは考えられず、分子標的薬の限界を噛み締める日々が続いた。しかし2006年、自治医科大学ゲノム機能研究部の間野博行教授(当時)らのグループが世界で初めて、一つの「標的」で固形がん消滅が期待できる変異と分子を発見したのだ(07年、「ネイチャー」誌発表)。

 その標的はEML4‐ALK。一部の肺がんに存在する遺伝子変異が生み出すタンパクで非常に強力ながん化能を持つ。実際、人為的にEML4‐ALKを作るように操作されたマウスは、わずか生後数週間で肺がんを発症する。つまり、肺がんの本質的な発症原因であることが証明されたのだ。ヒトのEML4‐ALK陽性肺がんは肺腺がんの約5%に認められ、若年者、女性、非喫煙者に多い。

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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