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「引きこもり」するオトナたち

なぜ東日本大震災は引きこもりに変化をもたらしたか

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第85回】

 東日本大震災は、社会や人とのつながりを失った引きこもり状態の人たちの生活に、どのような変化をもたらしたのだろうか。

 実は、前々回の当連載で紹介して、非常に反響が大きかったのは、宮城県臨床心理士会事務局長で、東北大学大学院教育学研究科の若島孔文准教授の「ブリーフセラピー」(短期療法)の話だ。

 若島氏は、「東日本大震災PTG心理・社会支援対策室」の家族臨床心理グループのメンバーとして、避難所や仮設住宅に「簡易こころの相談室」を開設するなどの支援活動を実施。3月27日には「東日本大震災心理支援センター現地対策室」を設置して、様々な組織や団体のこころのケアチームに参加してきた。

 東北大学では、「どうすれば早く変化を起こせるか」だけを考えて、実験や臨床を行っている。たまたま今回、大震災が起きたことをチャンスに変えて上手く利用できたケースでは、実際に変化が起きていることもわかったという。

 そこで今回は、前々回、紹介しきれなかった、この若島先生のブリーフセラピーの考えを、もう少し補足したい。

「問題が起きているから助けて…!」
脱・引きこもりの鍵は“役割”の付与

 北関東のある県で、10年近くにわたって、生存を確認できていない30歳代の男性がいた。

 男性は、マンションで母親と一緒に同居している。母親は自宅のダイニングキッチンに住んでいて、本人は部屋から出て来なかった。

 母親は「息子は生きています」と話していたが、母親にそう言われて訪ねて行っても、誰も出て来ない。外部の人たちからすれば、本当に生きているのかどうかもわからず、息子の存在に気づくことはなかった。

 マンションを訪問するスタッフは、どんな男性が住んでいるかもわからないため、いつも訪ねて行くのが怖い。たまたま母親がいないときに、恐る恐る玄関のベルを押したら、すぐに「はい」と言ってドアが開き、勢いよく男性が出てきた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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