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香山リカの「ほどほど論」のススメ
【第6回】 2011年11月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

自分の思い通りにいかなくても
「うまくいってない」とは限らない

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物事が計画通り進まなくても
計画がうまくいかなかったとは限らない

 多くの人は、自分の人生は自分でコントロールできると考えています。

 だからこそ、仕事や勉強、趣味や恋愛など人生のあらゆる場面において綿密な計画を立て、それを実現しようとします。

 私は、人間が生きていくうえで、自分でコントロールできる部分は限られているのではないかと考えています。もちろん自分の思い通りにいくこともありますが、多くのことは実は自分の力で何とも変えがたいものです。

 必ずしも自分でコントロールできないのが人生だと認識しておけば、仮に計画したことが予想通りに進展しなくても、こころにストレスを感じることが少なくなるはずです。

 そもそも「計画通りに進まないこと」と、「うまくいかないこと」は別の次元の問題であるように思います。

 あることが、計画通りに進まなかったとします。計画通りに進まなかったのは事実かもしれませんが、果たして本当にそれがうまくいかなかったのでしょうか。

 多くの人は、計画がうまくいかなかったと判断するのが早すぎるような気がしてなりません。本当にその計画がうまくいかなかったのか、その答えはすぐにはわからないのではないかと思うのです。

 私の診察室を訪れていたある女性が、旦那さんと離婚すると言い出しました。

 聞くと、その女性の症状が一向に改善しないため、旦那さんとしては一緒に暮らすことに疲れてしまったというのです。

 確かに、女性の病状は一進一退を繰り返していました。

 ただ、ほとんど家庭内別居に近いかたちで、もう少し協力してくれてもいいのではないかと私が感じてしまうほど、旦那さんの対応は冷たいものだったといいます。

 とはいえ、女性には自分の病状が改善しないことに対する負い目があるので、離婚はやむを得ないと諦めていました。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「ほどほど論」のススメ

好評連載「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」が終了し、今回からテーマも一新して再開します。取り上げるのは、社会や人の考えに蔓延している「白黒」つけたがる二者択一思考です。デジタルは「0」か「1」ですが、人が営む社会の問題は、「白黒」つけにくい問題が多いはずです。しかし、いまの日本では何事も白黒つけたがる発想が散見されるのではないでしょうか。このような現象に精神科医の香山リカさんが問題提起をします。名づけて「ほどほど」論。

「香山リカの「ほどほど論」のススメ」

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