ちなみに、現在、糖質制限食で野菜を摂ることは、ビタミンCを確保するためにも重要な意味を持っています。皆さんも適量の野菜(最低ビタミンC必要量)は必ず食べるようにしてください。ただし大量の野菜は糖質量が増えるので要注意です。
次に果物やナッツ類は、秋を中心に季節ごとに少量は手に入るので、当然食べていたと思います。もっとも、当時の果物やナッツは野生種ですから、現在食べているものに比べたら、はるかに小さくて糖質含有量も少なかったと思います。
そして、ジャガイモやサツマイモを人類が食べはじめたのは、農耕開始と同じ頃か、それ以降です。山イモなどの球根は、さまざまな種類が山のなかに自生していたと思われるので、たまに運よく採集できたら食べていたと思います。
私たち人類の遺伝子は
穀物に対応できていない
人類がチンパンジーと分かれて700万年です。その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属などの7属23種の人類が栄枯盛衰をくり返し、結局、約20万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なことは、7属23種の人類はすべて狩猟・採集が生業だったということです。つまり、農耕が始まる前の約700万年間は、人類皆糖質制限食であり、ヒトは進化に要した時間の大部分で狩猟・採集生活をしていたということです。
したがって、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
大ざっぱですが、人類の歴史700万年のうち、農耕が始まって1万年なので、穀物を主食にしている期間はわずか700分の1となります。残りの期間は、人類の食生活は糖質制限食でした。