ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

リスクの大小はリスクの大きさではなく
リスクの性格で判断する

上田惇生
【第265回】 2011年11月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円(税込)

 「リスクには基本的に、4つの種類がある。第一に負うべきリスク、第二に負えるリスク、第三に負えないリスク、第四に負わないことによるリスクである」(ドラッカー名著集(6)『創造する経営者』)

 世界で最初の、かつ今日に至るも最高の経営戦略書とされている本書において、ドラッカーは、経営計画では、まずリスクの種類を明らかにせよといった。

 第一に、事業を行なう限りは、負うべきリスクがある。産業ごとに負うべきリスクは異なる。製薬会社にとって、新薬開発に伴うリスクこそ、負うべきリスクの典型である。リスクがいやならば撤退するしかない。人を助けるべきものが人を傷つけるかもしれないという、製薬会社にとっては悲痛なリスクである。過去には、サリドマイド禍があり、小児麻痺ワクチンによる死亡事故もあった。

 第二のリスクと第三のリスクは、ペアである。一方に負えるリスクがあり、一方に負えないリスクがある。失敗しても多少の損失ですむというリスクは、負えるリスクである。逆に、失敗したら会社がつぶれるというリスクは、負えないリスクである。

 ここにもう一つ、負えないリスクがある。成功しても、その成功を利用できないというリスクである。失敗すれば、投じた資金を失うだけですむ。しかし、成功すれば、人手と資金の追加が必要となる。そのときに調達できなければ、それはもともと負えないリスクだったということになる。

 したがって、新しい事業に手を出すに当たっては、後からやってくるどこかの大企業の水先案内人に終わらないか考えねばならない。

 そして第四が、負わないことによるリスクである。その典型が、乗り遅れのリスクである。米GE(ゼネラル・エレクトリック)は、原子力発電は顧客たる電力会社にとって採算が合わない、と見た。しかし、発電機メーカーの雄としては、たとえ万一であっても乗り遅れるわけにはいかなかった。そこで、一流の人材を投入し、膨大な投資を行なった。

 「もちろん何かを起こすにはリスクが伴う。しかしそれは合理的な行動である。何も変わらないという居心地のよい仮定に安住したり、ほぼ間違いなく起こることについての予測に従うよりも、リスクは小さい」(『創造する経営者』)

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

⇒バックナンバー一覧