社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「世界を広げる」ために大事なこと
世界を広げるためにはまず、「①世の中の『仕組み』を知る」ことから始めるのが大事だとお話しました。
「仕組みを知ることが、どうして世界を広げることにつながるの?」と疑問が湧くかもしれません。
確かに、仕組みを知るだけでは世界は広がりませんが、仕組みを知らないと世界は広がりにくいのです。
「美味しい!」だけで終わるか、そこから世界が広がるか
例えば、コーヒーを飲んだとします。「美味しい」と思っただけで終わるのと、コーヒーの味の仕組みを知っているのとでは、その後の思考が全く変わってきます。
コーヒーの味は主に酸味と苦味から成り立ち、豆の種類や焙煎方法、抽出の温度や時間によってバランスが変化することを知っていると、「このコーヒー、酸味が強めだから、温度を上げて抽出し、苦味との調和を試そう」といった具合に、次の展開が見えてきます。また、甘味は酸味を緩和することを知っていると、酸味が強いコーヒーをあえて淹れ、砂糖を合わせて楽しむなど違う方法で味わうこともできます。
一方、仕組みを知らないと「美味しい」「美味しくない」の感想だけで終わってしまい、そこから先に進めません。自分の好みに合うコーヒーを見つけることも、もっと美味しく淹れる方法を工夫することもできないのです。
これは、どんな分野でも同じです。
仕組みを知ることで、その世界の構造が見えてきます。そして、仕組みを知れば知るほど、自分の世界の仕組みが唯一のものではないと気がつきます。自分の価値観や考え方が、自分がいる狭い世界でのみ通用するものと気づくこともあるでしょう。
仕組みを知ることで、自分の価値観だけで物事を判断するのではなく、違う世界の違う考え方でも物事を見られるようになり、世界を多角的に見ることができるようになるのです。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。