彼に限った話ではなく、人のいい上司は部下に仕事を任せたくても任せられないケースが多いようです。

 それはおそらく「部下に嫌われたくない」という心理が働いているのではないでしょうか。

 しかし、部下に「忙しいのに」と嫌がられたとしても、会社のためには仕事を任せるしかないのです。上司の給料には、部下に仕事を任せ、動かし、成長させる業務に対する対価も含まれているのだということを決して忘れてはなりません。

その4)「楽をしたい」と考えている

 もう一つ、「任せられない上司」の共通点として、「楽をしたい」という考えがあります。

 たしかに、人に任せると教えるのに時間がかかりますし、部下が失敗したときはフォローしなくてはなりません。自分が教えたのとは違う結果になるのはしょっちゅうですし、それを注意したら不機嫌になる部下もいます。さらに、任せたぶんだけ上司の責任は重くなる。それを考えたら、一人でするほうが作業的にも精神的にも楽でいられるでしょう。

 しかし、それでは組織が成り立たなくなります。

 組織が20年後も30年後も、50年後も継続するには、仕事を誰かが受け継いでいくしかないのです。上司は仕事を次の世代に渡すのが役目。あなたもそうやって上司から仕事を引き継いだはずです。

 上司から部下へとバトンタッチすることで、組織は続いていきます。仕事は自分のためだけにあるのではないのだと考えてください。

 そもそも、楽をしたいのなら、それこそ人に任せるのが「最大の楽」につながります。苦労するのは、ほんの一時だけ。いま、部下に任せることで、将来の「自分の時間」を手に入れられるのです。