金融庁は規制第三弾を検討中
反論する投資家と店頭業者

 実はこれは、規制強化としては第二弾で、11年8月1日から課せられたもの。それまでレバレッジは最大50倍まで(証拠金が取引額の2%以上)で、締め付けは徐々に厳しくなっている。そして現在、第三弾として「最大10倍」が議論されている。しかも規制対象は、店頭取引に限定される予定だ。

 ここにきてFX業者に加え、多くの個人投資家が金融庁に異を唱えている。その論点は、(1)10倍ではレバレッジが低すぎて投資家にメリットがない、(2)店頭取引と取引所取引に格差を設けるのは不公平だ、という二つだ。

(1)は、現在の25倍でも投資対象とする通貨によっては利益が出づらいということが背景にある。例えば取引参加者が多く、たいして変動しない米ドル・円の組み合わせで短期取引をしようとすると、25倍でも収益性はさほど高まらない。一方、新興国の通貨であれば取引参加者が少ないので変動が大きくなりやすく、損失が出れば大きくなりがちだ。だから、「一律」に10倍にすれば安全性が高まるとは言い難いのだ。

 そもそも「10倍」という数字の算出方法も疑問が残る。FXに詳しい今井雅人衆議院議員によると、「1985年以降の変動率が最大になった時期を上限に、各通貨ペアをシミュレーションし、それを足して通貨ペア数で単純平均した方法を使っている。25倍を決めた時に投資家が混乱しないよう意図的に使ったのと同じやり方だ」という。それよりも、通貨ペアごとの取引高の加重平均にした方が実態に合うはずだ。

(2)については、今回の規制案が、「一体、何のリスク軽減を狙うものなのか」という根本的な問題に直結する。

 今回、金融庁がリスク保護の対象として目を付けたのは「投資家」ではなく、「業者」である。店頭取引業者が、イギリスの「EU離脱(ブレクジット)」やかつての「リーマンショック」、そして「スイスショック」といった、金融市場を揺るがすような局面に耐えられるよう規制を強化しようする流れだ。

 ただ、明確なきっかけがあるわけではない。金融庁職員は「日本のFX市場はレバ規制を25倍にしてからも3000兆円から5000兆円へと成長した。そうした規模の中で、業者が未収金によってつぶれるような事態になれば、マクロ経済にも影響が出てしまう。そうしたことがないよう、業者の自己資本を充実させるとともに、未然のリスク管理が必要だと考えた」と話す。

 金融庁によれば、確かに業者から規制に関する質問や反対意見は届いているものの、消費者保護に熱心な弁護士などを中心に「賛成意見も寄せられている」と反論する。