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問題解決のためのコンサルタント脳のつくり方
【第16回】 2008年4月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
塩野 誠 [コンサルタント]

「権限のある決裁者」の一言で相手の決断を促す
交渉力を磨く PART(5)

 交渉参加者が互いに譲らずにこう着状態になったときの打開策があります。会議の場であれば、「ちょっとお時間をいただけませんか、内部で協議したいのです」と伝えて、他の部屋を借りて話すことは効果があります。これは交渉相手のいないところで自分のチームが落ち着いて、もう一度、方針を確認できるというメリットがあるからです。

 その一方で、交渉相手の頭をクールダウンさせるという効果もあります。

 また、状況を選ぶやり方ですが、交渉に長い時間を使った後で、「どうやら決まらないようですね、それではこの話はなかったということで」と交渉の中止を宣言し、席を立とうとするのも1つの方法です。

 なぜなら、お互いに時間を使ったということは、既に大きな時間と労力のコストが発生しているということなので、そう簡単には何の結果も出さないわけにはいかなくなってしまっているからです。ロジカルな人でも一生懸命にコストを使った案件から、すぐに離れられる人は少ないものです。この状況はプロジェクトのスケジュール管理の項目で述べたとおりです。いったん交渉の中断を宣言するのは、もう一押しという決断を促すには効果があります。

 また、交渉の中で沈黙して、相手の出方を見るのも手です。人は長い沈黙にあまり耐えられないので、交渉の場で「それでは少しお考えください」と言って急に沈黙すると、新しい情報を引き出せることがあります。

 交渉に慣れた人のやり方に「Good Cop/Bad Cop」の応用のようなものがあります。まず担当者レベルではかなり高めの要求を投げておきます。そして交渉の最後のほうで、社長や役員など権限を持つ決裁者が会議に出てきて、「担当者がずいぶんと厳しい要求をしましたが、少しこちらが折れますよ」と言ってくる戦略です。そうすると、高位の決裁者が相手のメンツを立てたようにもなりますし、せっかく決裁者が出てきてくれたのだから、ここで決めてしまおうという思いが相手には働くものです。

 言ってみれば50%もらえれば上出来の条件を、担当者が100%の要求をしておいて、決裁者が80%でいいですよ、と落とし込むというパターンです。落としどころを常に意識し、権限のある決裁者にはここぞという一言を言ってもらうようにしましょう。

【INSTALL:ここを脳にインストール!】

■交渉に詰まったら席を外して相手と自分をクールダウンさせる
■交渉相手には交渉のコストを認識させる
■高位の決裁者が少し条件を折れることによって相手の決断を促す

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塩野 誠 [コンサルタント]

1975年生まれ。シティバンク銀行、ゴールドマン・サックス証券、べイン&カンパニー等で事業戦略の立案や実行、M&A・投資業務等を担当。現在は非営利団体である企業価値戦略研究会に所属。その活動とともにコンサルタントとして国内外の企業に対し幅広い提言と講演を行っている。


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