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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧州危機は日本にとって“ピンチはチャンス”
次は「政治」によるEU崩壊のステージへと昇華する?

田村耕太郎
【第34回】 2011年12月16日
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目先の危機は去ったか?
できてしまった債務をどう負担・管理するのか

 欧州財政危機の深刻化とそれへの対応は一進一退だ。ドイツ、フランス、英国が、ユーロ圏での指導力争いを巡って危険なゲームを繰り返している様相もあるが、その間に危機は深刻なステージに昇華しようとしている。財政がユーロ圏を崩壊するのを防ぐ目途はたったものの、目途が立ったが故に、今度は政治がユーロ圏を壊すかもしれないのだ。

 先週末に行われたEUサミットは一定の前進とは言えるものの、解決とは程遠い。財政規律強化のため、各国にさらなる財政規律厳格化の義務を課す方向は決まったが、その詳細を決め、各国が実行するには相当の時間がかかる。詳細を決めるのに再び首脳が集まらねばならないし、詳細が決まった後、それが加盟国の国会で承認を経るのはかなりの時間と労力を要する。さらに正確に言えば綱渡りとなろう。

 ただ、根本的な問題がまだ残る。加盟各国に財政規律をどう導入するかの議論は大事だが、これは所詮将来の問題再発への手当てに過ぎない。この措置の実施も綱渡りだが、もっと大事なのは、できてしまった債務を欧州が共同でどう負担・管理するかである。この方が喫緊の課題だ。このあたり、欧州のお手盛り国際機関であるIMFに20兆円拠出でこの場は乗り切ろうと模索することに加えて、欧州共同債の発行も事実上ドイツが承認したことは大きい。

欧州経済は成長しない?!

 財政規律の徹底と欧州共同債発行が可能になれば、EUはさらに進化し、強力になる。ただ、真の問題は全く解決していない。それは欧州に成長エンジンがあるかどうかということだ。結局借金を借金でまかなっていき、その借金を増やさない方向で規律を持たせていくことは実現しそうだ。しかし、その借金を軽くしてコントロールできるものにしていくためには加盟各国が経済成長を実現せねばならない。その道筋は相変わらずはっきり見えない。欧州各国ではアメリカのシリコンバレーを真似て、ベンチャー育成特区を造る動きがことごとく頓挫し、日本以上に起業家が出てきていない。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

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